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産業革命の原動力となったのは石炭紀に大発展したあの植物
古生代石炭紀、という地球史上の時代区分があります。
その名の通り、石炭の原材料である植物が大繁栄していたことから、その名がつきました。
石炭は19世紀の産業革命の原動力となった化石燃料です。
それまでは、製鉄などに木炭を使用していました。木炭を上回る性能を持つ石炭が製鉄の膨大な生産量を支えることで、文字通り革命的に、工業が発展していきました。
産業革命、製鉄の様子。石炭が生成する高温により鉄を鍛えた。
現在では、二酸化炭素排出の問題などから、エネルギー源としての石炭の利用は減少の一途を辿っています。
しかしながら、相当量を掘り出した現在でも、石炭の採掘可能量は底をついていないといわれています。
古生代石炭紀には、いったいどれほどの植物が存在したのでしょうか。
植物というと、現世では、マツ、スギ、ヒノキといった植物をにわかに思い浮かべるかもしれません。
しかし、古生代石炭紀には、そのような植生が、陸地を覆っていたわけではありませんでした。
裸子植物が本格的に発達したのは、石炭紀から数億年後の恐竜の時代、中生代ジュラ紀に入ってからです。
古生代石炭紀には、シダ植物が大規模な植生を形成していました。
ここで一つの疑問が湧きませんか?
シダ植物がいくら発達したところで、石炭を大量生成できるほどの原材料になるのか?
我々現代人が想像するシダ植物は、このような感じですね。
確かに、このようなシダ植物が、大繁栄しても、石炭の原料を生み出すとは考えられません。小さすぎます。
しかし、当時のシダ植物はデカかった!
石炭紀当時のシダ植物はとにかく大きかったのです。現世のシダ植物とは比較なりません。
当時の代表的なシダ植物、レピドデンドロンがこちら。
なんと、成長すると、高さ30mにも達しました。
現代人の感覚からすると、これがシダ植物か!と唸りたくなるほどの巨木ではないでしょうか。
当時の地球は現在よりも暖かく、世界中でこういった巨大なシダ植物が大繁栄をしていました(特に湿地帯)。
石炭の主原料の一つ、カラミテスがこちら。
地下に茎を張り巡らし、地上に巨大な茎を形成するのです。トクサの仲間で、この時代に大繁栄しました。なんと高さは30m!
こちらは、カラミテスの本物の化石です。写真右側にて、茎に節がある箇所が確認できます。
こういった植生が世界中の湿地帯に存在していたとされていますので、今もなお尽きることのない石炭の埋蔵量にも、合点がいきますね。
ちなみに、この時代のシダ植物の中には、石炭にならなかったものもあります。そうです、われわれ化石を愛するものたちに馴染みの深い珪化木(けいかぼく)となったものもあるのです。
マダガスカル産の美しい珪化木。幹の断面の化石。
珪化木とは木の化石のことですが、石炭とはどこが違うのでしょうか?
端的に申しますと、石炭は、組織が炭素によって置換されたものなのに対し、珪化木は、珪酸塩鉱物によって置換されたものなのです。
木が折れて倒れた幹に土砂が積もり、長い年月が経過することで、石炭、あるいは珪化木になりますが、その際に周辺環境の違いにより、置換される鉱物が異なった、というわけです。
人類の工業的発展に大いに貢献した石炭の立場にたてば、珪化木は「石炭のなりそこない」かもしれませんが、化石コレクターの立場からすると、石炭は「珪化木のなりそこない」なのかもしれません。
いずれにしましても、両者ともに地球からの大切な贈り物ですから、大事に利用したいものですね。
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