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化石として残りやすい古代魚、残りにくい古代魚
魚類は、脊椎動物のなかで、最初に出現した動物です。
魚類は6グループに分けられる
無顎魚類(むがくぎょるい)・・・現世にも存在
古生代カンブリア紀から生き続ける魚類。 文字通り顎を持たない、もっとも原始的なグループ。例 スナヤツメ。化石として残ることは殆ど無い。
軟骨魚類(なんこつぎょるい)・・・現世にも存在
古生代デボン紀から生き続けるグループ。骨が軟骨でできている。例 サメ、エイなど。歯以外化石として残ることはほぼない。
条鰭魚類(じょうきぎょるい)・・・現世にも存在
古生代デボン紀に登場し、現在もっとも主流の魚類。硬い骨でできており、化石として残りやすい。例 サバ、アジなど、魚と聞いてにわかに連想するのは、たいていがこのグループ。
肉鰭類(にくきるい)・・・すでに絶滅
肉質のヒレが特徴。発見される化石の数は非常に少ない。 例 シーラカンス。
板皮魚類(はんぴぎょるい)・・・すでに絶滅
古生代デボン紀に登場。顔と体の前半までが硬い骨で覆われており、当時の海の食物連鎖の頂点に君臨した。 例 ダンクルオステウス。頑丈な頭部は化石として残るが、そもそも数が少ない。
棘魚類(きょくぎょるい)・・・すでに絶滅
尾ビレ以外のすべてのひれに、発達した棘が付いている魚。淡水魚。
すべての魚が均等に化石になるわけではない
魚の化石自体はそれほど珍しくありません。実際に、世界中の産地から魚の化石が採取されています。
魚の化石の種類は多種多様で、魚の化石だけをコレクションする収集家がいるほどです。
しかし、化石として採取される魚は、一部のグループに偏っており、すべての魚が均等に化石になるわけではありません。
化石になるのは、骨、歯に限られる
肉の部分は腐食分解するため、化石にはなりません。化石と成り得るのは骨、歯など、硬い組織によって構成される部位に限られます。
したがって、いわゆる条鰭魚類(じょうきぎょるい)と呼ばれる、硬い骨を持ったグループは比較的化石になりやすいのに対して、軟骨魚類(なんこつぎょるい)と呼ばれる、骨格が柔らかい軟骨によってできている魚は化石として残りにくいのです。
条鰭魚類とは、現世で頻繁に目にするサバやアジなどが属するグループです。「魚」と聞いてにわかに連想するものはたいてい条鰭魚類と考えて間違いないでしょう。
米国のグリーンリバーフォーメーション(おおよそ5千万年前の地層)から、良質の条鰭魚類の化石が多数発見されています。このグループの骨は非常に頑丈で、1億年以上前の魚の化石も多数発見されているのです。
米国グリーンリバー層(おおよそ5000万年前)で採取される条鰭魚類ナイティアの化石
また、軟骨魚類(サメ、エイなど)も現世に生き残っているグループ一つです。
サメやエイの骨は軟骨でできているため、化石になることはほとんどありません。軟骨魚類の化石として発見されるのは、「歯」です。事実、数千万年前のサメの歯の化石が多数発見されています。史上最大のサメとして知られるメガロドンの歯化石はコレクター垂涎の品として高値で取引されています。
歯は頻繁に採取されるのに対して、メガロドンの完全な骨組みの化石が発見されたという話は聞きません。軟骨魚類の骨は柔らかく化石として保存されるほど頑丈ではないのです。
条鰭魚類の代表例として、サバやアジなどを挙げましたが、肉鰭類(にくきるい)にも触れておきましょう。
あまり聞き覚えがない肉鰭類ですが、シーラカンスの仲間といえば、おわかりになるのではないでしょうか。
シーラカンスの化石は古生代デボン紀から中生代白亜紀の地層で発見されていますが、新生代の地層からは見つかっていません。そのため、シーラカンスは中生代末に絶滅したとの考えが通説でしたが、1938年に生きたシーラカンスが南アフリカで発見され、その説は覆(くつがえ)されました。
また、肉鰭類の骨は比較的頑丈なため、化石として残りやすいです。ただし、発見される化石の数は、条鰭魚類と比較すると極端に少なく、化石の価値も希少です。
また、板皮類(はんぴるい)という、すでに絶滅したグループにも触れておきましょう。
板皮類は、その名の通り、頭と体の前部分が異常発達してできた骨の鎧で覆われている魚類のグループです。古生代デボン紀の食物連鎖の頂点に君臨していました。
板皮類は古生代デボン紀に絶滅し、また生息数も少なく、発見される化石の数もごく僅かです。
板皮類の代表格であるダンクルオステウスの化石は、ごく稀に発見されることがあります。その希少性は他の魚類とは比較になりません。また、化石として残るのは、鎧部分である頭部と体前半部のみです。
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