- 化石販売の化石セブン
- 恐竜化石に関するコラム
- お役立ち
- 新生代の海の支配者、バシロサウルス科(古代クジラ)の生物は、前時代の支配者と何がちがうのか?
新生代の海の支配者、バシロサウルス科(古代クジラ)の生物は、前時代の支配者と何がちがうのか?
新生代を代表する水棲哺乳類の一つ、バシロサウルス科の生物には、中生代の巨大な水棲爬虫類にはない特徴があります。
中生代白亜紀の海中の支配者といえば、モササウルスのグループです。
彼らは巨大な体躯、ワニのような頭部、強力な交合力に、鋭い歯を持っていました。
約6500万年前に、白亜紀の終焉とともに、海中からその姿を消し、しばらくして、海中の支配者として君臨し始めたのが、バシロサウルス科の生物です。
新生代の一時期、海を支配した原始クジラ、バシロサウルスの復元図。
モササウルスとバシロサウルスにはたくさんの共通点がある
彼らは、現世のクジラの祖先として知られており、哺乳類です。前時代の支配者である、爬虫類のモササウルスとはその点で大きく異なりますが、巨大な体躯、強力な交合力、鋭い歯という点では、共通点があります。
このような進化の形態を収斂進化(しゅうれんしんか)と言います。
※収斂進化とは、異なる種類のグループが同じような生態的地位についた時、身体的特徴が似ること。
バシロサウルスの最大の特徴の一つ、異歯性とは?
このように多くの共通点を持つ両者ですが、バシロサウルス科にしかない特徴があります。
それは異歯性(いばせい)です。
異歯性とは、文字通り、一個体の生物において、異なった形の歯を持っていること、を言います。
そんなに珍しいことなのか?
と思うかもしれません。
結論からいうと、ありそうで無い、かなり珍しいことなのです。
下のイラストはバシロサウルス科の生物の下顎のシルエットです。
前歯、ミドルセクションの歯、奥歯によって、歯の形が異なることがお分かりでしょうか?
前歯は、比較的直線的で、ギザギザした(鋸の歯)部分がありません。
一方で、ミドルセクションの歯は、ギザギザしており、かつ三角状のおにぎりのような形をしています。
奥歯は、ギザギザしており、かつ三角ではなく、一方向に向いた独特の形をしています。
繰り返しになりますが、このように、一つの生物でも、違う形をした歯を持っていることを「異歯性」と言い、バシロサウルス科の生物はその典型と言えます。
このような特徴は爬虫類ではあまり観察されません。
ティラノサウルス科の恐竜(爬虫類)の歯の部位による違いは、異歯性?
ティラノサウルス科の恐竜(爬虫類)では、前上顎骨歯とその他の部位の歯では、形が異なるではないか、と反論が聞こえてきそうですが、その場合、異なると言っても、それほど大きな違いではありません。
バシロサウルスの歯は部位によって、明らかな違いがあり、おそらく使い方や機能面でも大きな違いがあったことでしょう。
こちらもお読み下さい。【お役立ち】に関連したコラム
- CRISPR技術でマンモスを2027年までに蘇らせる?
- なぜ生物が生きていた年代が分かるのか -放射線同位体測定法-
- 翼竜、始祖鳥、鳥の関係。鳥はいったい何から進化したのか?
- メガロドンはいかにして絶滅したか?
- 珪化木(樹木の化石)がこんなにも美しい理由
- 地球誕生の歴史、現在の地球の中身
- トリケラトプスの成体はどのくらい大きかったか。ガソリンスタンドと比較してみた。
- およそ5億年にわたる海の生物の歴史をCGで振り返る
- 映画「ジュラシック・ワールド」のように足らない部分のDNAを加えて、新種の恐竜を生み出すことは可能なのか?
- 化石の色はどのように決まるのか。メガロドン歯化石から探る。
- 進化の谷間、ミッシング・リンクとは?
- アメシスト?それともアメジスト?
- 化石を観察するときの、ルーペの選び方
- 化石の保存について(詳細バージョン)
- 地球のタイムスケール
- ステゴサウルスの背中のプレートの役割は?
- 恐竜は夢を見たのか?何時間眠ったのか?
- 3分で分かる宝石の単位カラット。グラムとの違いも。
- 化石になるまでの時間はどのくらいか?
- 化石は何でできている?(化石の成分)
- 化石のでき方を図で解説
- 鳥類の祖先は誰?
- 意外と知らない恐竜の種類
- 魚はいかにして進化してきたか?
- 恐竜はいかにして発見されたか?最初は全否定。
- 海の王者!史上最大の海生爬虫類たち
- 想像を超える体長と重量!史上最大の恐竜トップ5
- 恐竜の脳の大きさ 彼らは何を考えていたのか
- 歯の化石はサイズのわずかな違いが重要!
- 恐竜はなぜ絶滅したのか?
- 恐竜の歯化石から、何を食べていたか分かる!?
- 恐竜はどこから来たか?(恐竜進化の起源)
- 地球史上最古の「木」とは?
- 貝の進化の歴史とおおまかな分類
- 10分で分かる植物の進化
- 産業革命の原動力となったのは石炭紀に大発展したあの植物
- 化石として残りやすい古代魚、残りにくい古代魚
- 気温の上昇と海洋生物の大量絶滅の関係
- 脊椎骨の化石の方向の判断方法
- 肉食恐竜の歯の違い。タケノコ型とナイフ型。
- 生物の学名、表記方法、決まりや規定、2名法、二名法
- 恐竜の定義・分類・種類・分け方
- 化石の修復痕 補修 接着痕 リペアー
- 示準化石と示相化石の覚え方
- アメリカ・ヘルクリークhellcreekの恐竜
- クイズにこたえて化石のクリーニングを一緒に楽しもう!
- 肉食恐竜の歯コレクションルートマップ
- 恐竜のフットプリント化石のネガポジの謎。なぜ膨らんでいる足跡化石があるのか?
- 化石からDNAを取り出し、クローンを復元することはできるか?
- 化石の保存について(5つの天敵)
- 化石とは?定義の定義
- 化石の保存方法
- 爬虫類と恐竜の違い
- 歯根と歯冠とは? 恐竜の歯を学ぼう