- 化石販売の化石セブン
- 恐竜化石に関するコラム
- お役立ち
- 地球史上最古の「木」とは?
地球史上最古の「木」とは?
地球上に、最初の樹木が登場したのは、現在のところ、古生代デボン紀(4億年以上前)と考えられています。
当時の気候は現世よりも暖かく、地上の大半は砂漠でした。この時代の植物はまだ陸の内部に進出しておらず、水辺を中心に繁栄を始めていました。
その中心的な樹木の一つが、アーケオプテリス(Archaopteris sp.)です。
※ 始祖鳥のアーケオプテリクス(Archaeopteryx)と混同しないようにして下さい。
アーケオプテリスの想像図(CG制作:Hiroshi Fujita ジュラ株式会社)
アーケオプテリスは成木になると、30メートル近くに達し、若木でも10メートルはあったと考えられています。アーケオプテリスは、広義のシダ類に属します。シダと言うと、以下のような草の植物を思い浮かべるかもしれません。
現世でよく見かける草状のシダ類。
アーケオプテリスなどのシダの仲間は、木性シダと言って、上のような草状のシダとは異なります。
木性シダとは?
木性シダ(もくせいシダ)とは、樹木のように発達するシダ植物のことです。直立した丈夫な「幹」を持っていますが、幹は、一般的な樹木と異なり、年輪を持っていません。つまり木性シダの幹は肥大成長しないのです。その代わりに、茎に根が貼り付くことで、強度を保っています。
古代の木性シダのなかには、現世の木性シダとは比較にならないほど巨大なものがありました。その外観は樹木でしかありませんが、あくまで茎が成長したものです。
しかし、下記の古代の木性シダの幹の化石をご覧いただくとわかりますように、分厚い樹皮があり、現代人の感覚ではシダ植物とは到底思えないほど、しっかりした幹を持っていたことがわかります。
頑強な幹ではあるものの、年輪がない、という意味では、木性シダの特徴を備えています。
古生代石炭紀の木性シダと思われる幹の化石(珪化木)。弊社売却品。
このように、年輪のない幹の化石は、木性シダのものであると推察することができます。
もし、現代の街に、アーケオプテリスが生えていたら・・・
アーケオプテリスと現代の街1(CG制作:Hiroshi Fujita ジュラ株式会社)
成木は一般的な10階建てのビルに相当する高さまで成長したと考えられています。
アーケオプテリスと現代の街2(CG制作:Hiroshi Fujita ジュラ株式会社)
人間や車などと比較すると、いかに巨大であったか、分かることでしょう。
古代の木性シダ
木性シダは古生代に大発展を遂げました。
最も有名な種の一つは、現在の石炭の元となった考えられる、レピドデンドロン(古生代石炭紀)です。
レピドデンドロンの想像図(CG制作:Hiroshi Fujita ジュラ株式会社)
成木になると、高さ45メートルに達しました。細長い茎(幹)の上部にのみ、枝が発達していました。
古生代の木性シダは大繁栄し、地球のあらゆる陸地を征服していきます。
現代の石炭の原料になったのは、裸子植物でも、被子植物でもなく、木性シダだったのです。
コラム「産業革命の原動力となったのは石炭紀に大発展したあの植物」も合わせて御覧ください。
現世の木性シダ
現世にも木性シダは存在します。ヘゴ科のシダが代表的です。シダでありながら、高さ4mを超えることがあり、太く発達した茎が特徴です。
見た目は裸子植物のソテツなどに似ていますが、ソテツの幹は、樹齢を重ねるごとに年輪を増やし、肥大成長します。一方、ヘゴなどの木性シダの幹はあくまで「茎」であり、年輪を持ちません。
こちらもお読み下さい。【お役立ち】に関連したコラム
- CRISPR技術でマンモスを2027年までに蘇らせる?
- なぜ生物が生きていた年代が分かるのか -放射線同位体測定法-
- 翼竜、始祖鳥、鳥の関係。鳥はいったい何から進化したのか?
- メガロドンはいかにして絶滅したか?
- 珪化木(樹木の化石)がこんなにも美しい理由
- 地球誕生の歴史、現在の地球の中身
- トリケラトプスの成体はどのくらい大きかったか。ガソリンスタンドと比較してみた。
- およそ5億年にわたる海の生物の歴史をCGで振り返る
- 映画「ジュラシック・ワールド」のように足らない部分のDNAを加えて、新種の恐竜を生み出すことは可能なのか?
- 化石の色はどのように決まるのか。メガロドン歯化石から探る。
- 進化の谷間、ミッシング・リンクとは?
- アメシスト?それともアメジスト?
- 化石を観察するときの、ルーペの選び方
- 化石の保存について(詳細バージョン)
- 地球のタイムスケール
- ステゴサウルスの背中のプレートの役割は?
- 恐竜は夢を見たのか?何時間眠ったのか?
- 3分で分かる宝石の単位カラット。グラムとの違いも。
- 化石になるまでの時間はどのくらいか?
- 化石は何でできている?(化石の成分)
- 化石のでき方を図で解説
- 鳥類の祖先は誰?
- 意外と知らない恐竜の種類
- 魚はいかにして進化してきたか?
- 恐竜はいかにして発見されたか?最初は全否定。
- 海の王者!史上最大の海生爬虫類たち
- 想像を超える体長と重量!史上最大の恐竜トップ5
- 恐竜の脳の大きさ 彼らは何を考えていたのか
- 歯の化石はサイズのわずかな違いが重要!
- 恐竜はなぜ絶滅したのか?
- 恐竜の歯化石から、何を食べていたか分かる!?
- 恐竜はどこから来たか?(恐竜進化の起源)
- 新生代の海の支配者、バシロサウルス科(古代クジラ)の生物は、前時代の支配者と何がちがうのか?
- 貝の進化の歴史とおおまかな分類
- 10分で分かる植物の進化
- 産業革命の原動力となったのは石炭紀に大発展したあの植物
- 化石として残りやすい古代魚、残りにくい古代魚
- 気温の上昇と海洋生物の大量絶滅の関係
- 脊椎骨の化石の方向の判断方法
- 肉食恐竜の歯の違い。タケノコ型とナイフ型。
- 生物の学名、表記方法、決まりや規定、2名法、二名法
- 恐竜の定義・分類・種類・分け方
- 化石の修復痕 補修 接着痕 リペアー
- 示準化石と示相化石の覚え方
- アメリカ・ヘルクリークhellcreekの恐竜
- クイズにこたえて化石のクリーニングを一緒に楽しもう!
- 肉食恐竜の歯コレクションルートマップ
- 恐竜のフットプリント化石のネガポジの謎。なぜ膨らんでいる足跡化石があるのか?
- 化石からDNAを取り出し、クローンを復元することはできるか?
- 化石の保存について(5つの天敵)
- 化石とは?定義の定義
- 化石の保存方法
- 爬虫類と恐竜の違い
- 歯根と歯冠とは? 恐竜の歯を学ぼう