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光るアンモナイトはなぜ「光る」のか?
誰にでも分かる、アンモナイトが光るひみつ。
アンモナイトが光る現象は一般に、イリデッセンス(iridescence)と言われています。
イリデッセンス・・・・。多くの人にとって、なじみのない言葉でしょう。
語源はギリシャ語のレインボウ(虹)です。
実は、このイリデッセンス(iridescence)という現象は、アンモナイトの殻に限ったことではありません。
人が対象物を見る角度や、光が対象物に当たる角度によって、色やその彩度が変化する光学的な現象すべてを、イリデッセンス(iridescence)と言います。
七色に光る基本的な仕組みはプリズムと同じ
アンモナイトの殻が七色に光るのは、アラゴナイト層とキチン層の多重構造に関係がある
イリデッセンス(iridescence)が発生するには、厚さが異なる薄い層が交互に重なっている多重構造が必要です。アンモナイトの殻の表面も、アラゴナイト層とキチン層が交互に何重にも形成されています。
この多重構造に光が干渉すると、特定の光が集合し、強め合うことで、赤、黄、緑、青などに分光します。このような干渉を、多層干渉と言います。アンモナイトの層が七色に光るのは、この多層干渉によるものです。
この多層干渉によるイリデッセンス(iridescence)は、現世の真珠貝でも見られます。
真珠層は、カルシウムの結晶(アラレ石)と有機質(主にタンパク質コンキオリン)が交互に積層して形成されています。この多層構造が干渉色を生み出し、真珠特有の虹色(オリエント効果)を生み出します。
シャボン玉でイリデッセンス(iridescence)が起こるメカニズム
多層干渉におけるイリデッセンス(iridescence)のメカニズムを説明しましたが、別の仕組みでも、イリデッセンス(iridescence)は発生します。シャボン玉における七色の反射もイリデッセンス(iridescence)の一例ですので、簡単にご紹介しましょう。
半透明の微妙に厚さの異なる薄い層に光が干渉すると、イリデッセンス(iridescence)が発生します。層の微妙な厚さの違いにより、光が干渉したときに、単色(赤、黄、青など)に分光します。このとき、七色に見えるのです。
以下の写真をご覧ください。本来、無色透明のシャボン玉が七色に輝いて見えます。
シャボン玉自体には色はありません。無色透明の膜です。一定の厚みに見えますが、微妙に厚さが違います。そこに光が干渉することで、七色に輝くのです。これを薄膜干渉と言います。
このように、イリデッセンス(iridescence)が発生するのは、ある構造を持った組織や層に、光が干渉する時です。
保存状態の極めて良好なアンモナイトの殻しか、イリデッセンス(iridescence)は発生しない
従って、七色にアンモナイトが輝くということは、棲息時に持っていた殻の表面の薄い構造が破壊されていないことを示しています。アンモナイトが死に絶え化石として現在に掘り出されるまでに、短いもので6千5百万年、長いものでは3億年以上もの長い時間がかかるため、よほど良い条件が揃わない限り、イリデッセンス(iridescence)は失われてしまいます。
実は身近なイリデッセンス(iridescence)の例
実は、あなたも、このイリデッセンス(iridescence)を知らぬ間に利用しているかもしれません。例えば、女性(ときに男性)が使用するメイク用品。ラメの入った光るアイシャドーや、パールと名の付くファンデーションが多数発売されています。
これらは、表面に厚みの異なる薄い層を作ることで、七色に光るように設計されています。自然界と同じ仕組みを模倣することで実現しているのです。