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第5回 過去に開催し反響よんだ化石展、今年7月あの感動を再び
前回に少し触れましたが、忘れられない思い出として1995年から2004年まで、7月の子供たちの夏休みに合わせて10年間連続で催した化石展があります。そして今年、丸5年ぶりに開催する化石展についてのことを、今回は話したく思います。
そもそも、何故15年前の1995年に化石展を開催することになったのかは、その当時にはもうすでに多くの化石標本が私の手元にあり、自分だけが眺めて悦に入るだけではほとんど死蔵ではないかとゆう疑問から始まりました。と、言っても思い出ある化石すべて博物館に寄贈というわけにも行かず、博物館ではあじわえない直接手で触れることが出来る化石展示や、アマチュアとして考える化石の魅力とロマン、そして楽しみかたなど化石を知らない人にもあじわってほしいと展示会を思いついたのです。また展示会開催ともなると時間と予算もかかりますが、化石が心底好きだからこそやれば出来るという信念と自己暗示、そして八方破れで無鉄砲な性格が幸いして開催にこぎつけたのです。
(郷土文化会館正面玄関の化石展会場看板)
とにかく、それまでに県内ではアマチュアの化石展示会など無かったばかりにすべて手探り、標本の選別からラベル作製、会場設定、生活の中からの予算の確保と苦労しましたが、気心わかる採集仲間の応援もあり無事その日をむかえる事ができたのです。
(化石展開催でヒサエさんから頂いた祝い花の前で)
1995年の7月24日、初めての展示会初日の朝早く電話がなりました。恩師の久米先生の娘さんからの一報でした。恩師には展示会初日ということもあり、会場内での説明などのご協力をお願いしていましたので、おそらく急用で遅れるかどうかの連絡と思い電話口に出たところ、夜半に恩師の身体に偏重があり、救急車で病院に運ばれたが急死なさったとの内容でした。頭の中が真っ白になり絶句、しばらく受話器を握ったままの長い沈黙のあと、展示会開催どころではないと思い「急遽中止し先生のお宅にお伺いします」と答えました。そうすると娘さんは「是非化石展は開催してください。母も、恐らく主人もそれを願っているでしょうからと言っています」と返ってきました。
私はそのいただいた一言で、重い心ながら予定通り開催することを決めたのです。
当日会場はアマチュアの化石展ということで賑わい華やかでした。しかし私の心の中は重く暗い初日となりました。
その夜、ご自宅にお通夜にお伺いし恩師との対面を果たしました。穏やかな顔で眠る恩師を見ていると、恩師の声が頭の中に響きました。「いつも私は君の側でいるから大丈夫、鎌田君が大好きな化石のことは止まることなく突き進みなさい」と、そして私は予定の6日間の開催期間通り展示会を続行することになったのです。
開催2日目に重なったお葬儀には、会場を信頼できる仲間に任せ参列も出来ました。そして予定通り残る日程を消化し閉幕しました。
はじめての化石展で宣伝もまったくできず、化石仲間だけで楽しむ会になるかもと不安いっぱいだったのですが、入場者は開催6日間で400名あり、恩師の陰ながらの応援をいただいた御蔭だと仲間と感動を分かち合いました。
(化石展会場のにぎわう様子)
そして私は決めました。恩師のために今後もあきらめることなく、たとえ入場者が少なくても出来る限り、力の限り化石展をつづけたいと。結果化石展は10年続き、毎年入場者は増え、2004年開催した最終回の化石展には入場者1400名と最初の3倍強までに増えたのです。そして化石展開催10年を一区切りとし、化石展を終了し次のステップにと進んだのです。
そのステップとは、また先回でおしらせしますが私の化石人生をまとめた自費出版本の発刊でした。
そしてまた10年間子供たちの夏休みにあわせて開催した化石展がきっかけで、多くの化石好きの子供たちと知り合い、あつまった子供たちの希望をかなえるべく、次の私の目標とした、将来の自然科学研究分野における人材育成のために子供たちを中心とした徳島化石研究会少年少女地学班を結成し、化石展後、5年間活動をしてきました。この話もまた機会を見て詳しくお話します。
とにかく現在、5年間の活動で子供たちの標本も集まり、また夏休みの宿題として提出した化石や研究が認められ教育委員会などから多くの賞を受けました。そこで今年を少年少女地学班の一つの節目として、子供たちの標本や活動の歴史をメインとした化石展を計画しました。もちろんそれだけでは標本も偏りますので、サブ展示として私の標本や研究会会員、子供会員の保護者の標本、古生代から新生代までの500点程を展示し、見ごたえ或る化石展を開催する予定です。
そして私が企画する化石展はただ入場者が見学するだけのものでなく、化石を通じての社交の場です。入場の子供たちには化石の無料配布をし、また会場には雑談が出来る場も設け化石を通じて人とのふれあいを大切にしています。
(会場内に設けられた席も化石の話に華が咲く)
そんな7月開催予定の化石展は、23日から28日まで徳島市内の郷土文化会館で6日間開催します。もし徳島に御越しになる機会がございましたら是非、お立ち寄りいただけましたら幸いと存じます。化石と太古のロマン話で盛り上がりましょう。