徳島県化石研究会会長の鎌田誠一氏のコラム。プロフィール的なこと・化石の魅力・何を得るか。

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プロフィール的なこと・化石の魅力・何を得るか

2010年、新しい年が始まり数日が過ぎたある日、ちょっとしたことがきっかけになりご縁を頂き、化石セブンさんのウェブ記事  「私流!化石の楽しみ方」 を連載させていただくことになりました。

私は1949年生まれ、人生の折り返し点をとっくに過ぎてしまいました。そんな中で化石の魅力に取り付かれ、趣味として45年間化石と共に過ごしてきました。

仕事は現在、埋蔵文化財の調査発掘に従事しており、化石に比べて遺物といわれるものは年代が新しいものの、化石同様宝探しの楽しみを味わっており、大変楽しんでやっています。

化石に魅力を見出した中学生時代 (和泉層群にて)

考古学、古生物学、地質学など専門的、学術的なことは私にとって遠い存在ですが、研究の最初の担い手となる現物を探索し、発見し、採集するワクワクした楽しみから脱し得ないのが私の正直な姿です。

まず、私の大好きな化石とは「過去の地質時代における生物(古生物)の遺骸(いがい)や遺体、そしてその生活の痕跡(こんせき)(生痕)をいう」と定義にはありますが、私にとっての化石とは、私に定められている寿命、人生80年という時間軸から脱皮させてくれるものなのです。

また化石の楽しみ方は千差万別、化石に興味をいだく方それぞれに自分自身の楽しみ方をおもちだと思います。

私の楽しみ方は化石そのものも大好きですが、それ以外に化石に付帯する一連の作業や関係までもすべて楽しみです。化石の採集だけ取り上げても、地形図片手に産地を探し見つけるまでのワクワクした期待感、化石を発見したときの嬉しさ、そして絶頂感、自宅に持ち帰り丹念にクリーニングし標本となったときの満足感、標本としてコレクションが増えていく優越感、そして過去に収集した化石を眺めるたびに思い出が蘇えります。

そして、はるか時の彼方から現在の私達の目前に現れた化石を手に取り握り締め目を閉じると、心ははるか過ぎ去った地質時代へとタイムスリップし、イメージは無限に広がり夢とロマンをあじわえます。

また化石採集時に訪れた場所で、そこに息づく動植物や自然とのふれあいで命の息吹を感じ、そして風景や人との出会いで義理や人情を知り心豊かにもなります。

「私流化石の楽しみ方」 それは私にとって一言で言えば「出会いと感動、そしてロマン」です。

化石と関わることにおいて、何事にも出会いと感動があったからこそ、化石と初めてであった少年時代から、はるか過ぎ去った時間の不思議さ、無限に対する憧れ、ロマンという夢を果てしなく追い求めて今まで歩んできたのです。

単独で地層見学、地質調査などした高校生時代(四万十層群にて)

単独で地層見学、地質調査などした高校生時代(四万十層群にて)

数百万年、数千万年、数億年の時空を超えた化石を目の辺りにすると、心をはるか時の彼方までいざなってくれます。天文学も物理学も無学な私にとって、化石は宇宙創成までの想いを馳せ得る大事な証拠となるのです。

そこまで私を魅了した化石、化石とのはじめての出会いは45年前、転勤で私の中学校にこられ、理科の教壇に立たれた恩師との出会いがはじまりでした。そして、中学3年生の夏休みの林間学校での出来事が、私の進む道を決めたのです。

恩師、久米嘉明先生の御蔭で歩む道が決まり、その後、採集中に知り合った高木正信さんとは、一番馬が合う化石の友として彼が旅立つまでお付き合いし、そして、私の最愛の内縁の妻、築出ヒサエさんの身を徹した応援があったからこそで、私にとって人との出会いも、大切で忘れられないものの一つなのです。

次期掲載は一ヵ月後ですが、今回紹介しました恩師とかかわる化石、エピソードについて書きたく思いますのでお楽しみ下さい。

鎌田誠一氏、「私流、化石の楽しみ方」

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