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- 2016年に発表された、新しいティラノサウルスの仲間、ティムルレンギアとは?
ティムルレンギアとは?
ティムルレンギアとは、中生代後期のはじめ(チューロニアン)の地層から発見されたティラノサウルスの仲間の恐竜です。
その地層とは、ウズベキスタンのキジルクム砂漠 Bissekty層であり、アジアのティラノサウルスの仲間といえます。
2016年に新属として記載された、ティラノサウルスの仲間としては、とても新しい恐竜です。
ティムルレンギア属に分類される種は2020年3月現在、1種のみであり、ティムルレンギア・エウオティカとなっています。
ティムルレンギアの体長と体重
まだはっきりしたことは分かっていないものの、成体になると体長4メートル、1トン前後まで成長したと考えられています。
発見される多くの化石はそれほど大きくはありません。しかし、それらは亜成体のものとされています。中には、かなり大きな骨の化石が含まれているからです。
ティムルレンギアの名前の由来
学名はTimurlengiaです。和名ではティムルレンギアと表記されています。このちょっと風変わりな名前の由来は、2016年に新属として記載されました。
この名前は中央アジアのティムリド帝国を創設したティムレンに由来しています。模式種のTimurlengia euoticaの種小名のエウオティカはギリシャ語で「耳の良い」という意味になります。これはティムルレンギアの頭部骨格の研究により、低周波音を聞くための内耳道が長いことが示されたことに由来しています。
ティムルレンギアが生きた時代、「チューロニアン」とは?
チューロニアン(英語名:Turonian)とは地質時代を表す専門用語で後期白亜紀の2番目の期です。具体的には9390万年前から8980万年前を指します。
チューロニアンの後期には、海水準低下と地球規模の気温低下が起きていることが分かっています。後期白亜紀は全体として寒冷化していました。
ティムルレンギアが発見されたウズベキスタンのキジルクム砂漠はどこにある?
キジルクム砂漠は、中央アジアにあたるカザフスタン、ウズベキスタン、それにトルクメニスタンにかけて広がる砂漠です。
キジルクムという言葉はその地域の言語で「赤い砂」を意味します。
金や天然ガスといった資源が豊富に眠っている地域でもあります。
ティムルレンギアが属しているティラノサウルス上科とは?
ティラノサウルス上科とは、ティラノサウルス科とコエルロサウルス類の獣脚類恐竜を合わせたグループです。
ティラノサウルス科とは、ご存知、ティラノサウルス・レックスを含む白亜紀後期の巨大化した恐竜のグループです。それらに別のグループも合わせたものが、ティラノサウルス上科になります。
一つのグループにまとめるからには、共通点があります。ティラノサウルス上科には頭骨や骨盤に似た特徴があります。
同じグループではありますが、大きさにはばらつきがあり、初期の恐竜は比較的小柄で、前肢に3本の指を持っていたのに対して、ティラノサウルス・レックスを代表とする後期の恐竜は史上最大級の肉食恐竜と言われるまでに巨大化し、前肢の指は2本しかありませんでした。
後期の恐竜の一部には羽毛があったので、前期の恐竜にも存在した可能性があります。
ティラノサウルス上科のもう一つの特徴として、頭部に特徴的な骨の隆起があり、性的もしくは威嚇のためのディスプレイとして使用された可能性が示唆されています。
ティラノサウルス上科に属する恐竜のうち、最も初期のものは、ジュラ紀のローラシア大陸に生息していました。そして、白亜紀の最後期まで進化を続け、最終的に、あのティラノサウルス・レックスが誕生しました。この頃には、北半球において、食物連鎖の頂点に君臨していました。
ティラノサウルス上科に属している恐竜の化石は北米、ヨーロッパ、アジア、南アメリカ、オーストラリア大陸など世界中で発見されています。
中間時期に誕生したティムレンギアですが、すでに高度な脳機能を有していました。
チューロニアンの時代に生息していたティムルレンギアは最も古いものと最新の白亜紀のレックスなどの中間にあたる存在と言えるでしょう。
ティムルレンギアはレックスなどの白亜紀後期に誕生した最新のティラノサウルス科の恐竜が持っていた高度に派生した脳と内耳を持っていました。
つまり、ティムルレンギアは体躯はそれほど大きくないものの、ハンターとして非常に優れた機能を持っていたことを示しています。巨大化する前のレックスのような存在と言えるのかもしれません。
■ティムルレンギア・エウオティカのエウオティカって何?
恐竜に限らず、生物、植物、はたまたウィルスを分類するときに、リンネの二名法が用いられています。
属と種(しゅ)をあわせて表現する手法で、ティムルレンギアが属、エウオティカが種となります。
ティムルレンギアのなかで、形態的な違いがある場合、種名を変えて表現することができます。つまり新種として表現できます。
ただし、現在のところ、エウオティカの一種のみです。
※ 種には模式種というものがあります。 分類学において,新属の記載を行ったときに、基準として取り上げた種のことを指します。基準種、あるいはタイプ種ということもあります。ティムルレンギアの場合、前述のように、現在のところ、1種しかないため、エウオティカが模式種ということになります。