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- モロッコ産のスパイニータイプの三葉虫のプリパレーションの技術革新
三葉虫の3Dクリーニングの工程
今回ご紹介するtr1260は、モロッコの工房で仕上げられたスパイニータイプの三葉虫です。三葉虫化石のプリパレーションは、採集現場で石の塊として持ち帰るところから始まります。大きな標本は分割し石膏で固めることもありますが、三葉虫のような小さな化石はそのまま工房へ運ばれます。
工房での最初の工程は、リューターでのざっくりとした削り作業です。この段階で化石の存在が確認されると、繊細な化石の場合、サンドブラスターに切り替え、ミリ単位で慎重に削り出すことが求められます。この技術は、まさにプリパレーターの腕の見せ所です。
例えば、アメリカ・オクラホマ州で見つかる三葉虫のプリパレーションで知られるボブ・キャロルは、伝説的なプリパレーターであり、その技術を収めたDVDも存在していました。日本でも歯科医がプリパレーションに挑戦し、その細やかな技術を活かして見事な作品を作り上げた例があります。
モロッコの工房の技術が大幅進歩
モロッコでは、30年ほど前までは専用ツールが不足していたため、リューターによる粗削りしか行われていませんでした。しかし、15年ほど前から一部の工房がサンドブラスターを用いたクリーニングを始めたことで、より精緻な作品が生まれるようになりました。当初、これらの標本はヨーロッパに持ち込まれ、欧州のプリパレーターが仕上げることが多かったのですが、現在ではモロッコ国内で全ての工程が完結するようになり、技術も大きく進歩しました。
もう一つの課題は、日本への輸送
しかし、もう一つの課題は、日本への輸送です。スーパー3Dクリーニングが施された標本は非常に繊細で、輸送中に破損することが多かったのです。現在では、破損しにくい輸送方法が開発され、ほとんどの標本が無事に届くようになりましたが、それでも稀に破損が発生します。その場合は、弊社の専門スタッフが接着補修を行います。
このような背景から、以前は輸送が難しかったスーパー3Dクリーニング標本が、今では世界中で流通しています。しかし、技術の向上に伴い、標本の価格が高騰し、希少性が増しています。実感として、10年前のほうがスーパー3Dクリーニング標本の数量が多かったように感じます。日本以外でも人気が高まっており、国内での流通量が減少していることも影響しているのでしょう。
このように、三葉虫化石のプリパレーション技術は日々進化しており、今後もさらなる発展が期待されます。