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マダガスカル島は化石の宝庫
アフリカ東部のマダガスカルといえば、美しい自然や独自の文化が魅力的な観光地として知られていますが、我々化石コレクターにとっては、化石の世界的宝庫としての印象のほうがずっと強いでしょう。1960年以前、マダガスカルは植民地支配を受け、その影響を強く受けてきました。古くからフランスの将校などの調査により、各地の化石産地の調査が進んできたという歴史があります。
マダガスカル島の化石産地
特に、北西部はクレオニセラスに代表される白亜紀の海洋生物の化石が発見されます。マハジャンガなどが代表的な産地と言えるでしょう。化石コレクターにとってマハジャンガといえば、化石産地の印象が非常に強いわけですが、実際には、マダガスカルの中ではかなり大きな都市の一つで、港町としても知られています。ここでは、多くの観光客や研究者が訪れ、化石の採集や研究が行われています。また、マハジャンガ周辺では、化石の採集に関するツアーも提供されており、訪れる人々にとって魅力的な目的地となっています。
北西部には新生代の地層も露出しており、あの有名な美しいコーパルが採集されます。最近では、コーパルを採集する人々の人数が減っており、マーケットに出回る量も激減した印象があります。
一方、南西部にはジュラ紀の地層が横たわっており、あのペリスフィンクテスに代表されるアンモナイトが採集されます。マダガスカル産のフィロセラスなどもこの地域から採集されます。ペリスフィンクテスやフィロセラスがよく研磨された状態でマーケットで出回っているのとを見かけると思いますが、それには理由があります。マダガスカルでは無脊椎動物の化石を輸出する際、ポリッシュなどの研磨を行う必要があると定められているそうです。そのため、一定程度磨かれた状態で輸出されるため、このようなツヤツヤとした外観をしています。
欧州の美術商や化石商に渡った品は、さらに美しく加工されて販売されることが多いため、マダガスカル産の標本は見た目が整っていることが多いと言えます。逆に言えば、露頭からそのまま採集されたような無骨の化石は出回りません。私自身、16年の社史(2024/10/30現在)で、少なくとも一度も見たことがありません。一度くらいはノンクリーニング標本の現物を見てみたいものですね。