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非常に美しいエナメル質とフォルム!幻の恐竜、ナノティラヌス・ランセンシスではなく、ティラノサウルス・レックス(Tyrannosaurus rex)の幼体の歯化石/【di1248】
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こちらはティラノサウルスの幼体の歯化石です。カーブ計測で47ミリ。やや細身のこの歯化石について、以前であればナノティラヌス・ランセンシスの歯化石と分類することも可能であったかもしれません。「ティラノサウルスの幼体か、あるいは新属ナノティラヌルスか」という議論は、研究者にとって、また我々コレクターにとっても、長年、ホットなトピックとして扱われてきました。2020年になって結論めいた研究結果が発表され話題になっています。その紹介の前に、論争の歴史を簡単に振り返ってみましょう。
美しいカーブが備わった、見事な歯化石です。話を戻しましょう。1980年代は五分五分の議論が続けられてきましたが、2001年になり、さらにヒートアップすることになりました。ニックネーム「Jane」ことカタログナンバー「BMRP2002.4.1」という骨格標本が発見されたからです。ジェーンは2001年にモンタナ州南部のヘルクリーク層で発見されました。復元された体長はおよそ6.5メートル、最大級の標本であるスー(Sue)のおよそ半分程度でした。体重は1トン前後。体格だけみれば、ティラノサウルス・レックスの幼体(あるいは亜成体)のようでもあり、別属である可能性もあります。スコッティと並んで史上最大級のティラノサウルス・レックスの骨格標本の一つ、スーとの違いは、大きさだけではなく、全体のバランスとして、ジェーンのほうが足長で、顎に並ぶ歯の数が多いことが分かりました。この小さな暴君の発見によって、時々発見されるこのタイプの化石生物を新属ナノティラヌスとするのか、あるいはティラノサウルス・レックスの幼体とするのか、という議論が再燃したのです。
御覧ください。この美しい光沢。いかに状態が良いかお分かりでしょう。さて、話を進めます。ジェーンは2001年に発見され、4年間の準備期間を経て、2005年に米国イリノイ州のバーピー自然史博物館で展示されました。その時博物館で会議が行われ、古生物学者たちは”ミニ暴君ら”の化石を、ティラノサウルスの幼体のものとして結論付けました(数名の反対者はいたものの、過半数を得票)。
しかし、疑問は残りました。ナノティラヌス・ランセンシスとされた生物の顎には上片側に14~15本、下片側に17本の歯があるのに一般にティラノサウルス・レックスの成体の歯化石では、上片側11~12本、下片側に11~14本しかないのです。よって、両者は異なる生物なのではないか、という疑問にたいして、以下のような反論がなされました。同じくティラノサウルス科であるゴルゴサウルス・リブラトゥスでは、成長するについて歯の本数が減少するため、年齢で歯の数が異なるのは珍しいことではない。別の研究では、同じくティラノサウルス科のタルボサウルス(ティラノサウルス・バタール)においては、幼少時でも成体時と歯の数が変わらない、という主張がなされました。ただし、個体差があり、もともと歯の数が多い個体、少ない個体が存在するとも付記されています。したがって、歯の数が多いというだけで必ずしも別属であるとは言えない、という結論が出されたのです。研究者の間で他の点(手の相対的な大きさの比較や脳の空洞モデルを使った比較)でも議論が続けられてきたものの、全体として比較検討できる個体数が少ないため、分類学的な結論を得ることはできない、という見方もあります。
2020年に入って、新しい研究が発表され、賑わっています。この研究は大変興味深く、「ミニ暴君」の骨の断面に関して、非常に精細な分析を発表し、最終的にティラノサウルス・レックスの幼体であると結論づけています。レックスの成長率は一定ではなく、年齢とともに変化し、エサが少ない場合には、成長を遅らせることができた、というのです。なるほど、これまで想像しなかった考えですね。ティラノサウルス・レックスが繁栄した時期は200万年ほどありますが、その間には、栄養失調になるほどエサを捕獲できなかった時代があったかもしれません。ジェーンやその他のミニ暴君はそういった不遇の時代のレックスだったのかもしれませんね。あるいは単に狩りが下手だったのか。想像は尽きません。1980年代には、五分五分だったこの論争が年を経るごとに、ティラノサウルスの幼体説に傾いてきて、この度、ついに結論が出たのかもしれませね。今回の研究では骨の断面をモチーフにしていますが、化石のなかでは、比較的数の多い歯を対象とした研究が進めば、より興味深いのではないでしょうか。
そんな幻の恐竜とも言えるナノティラヌス・ランセンシスの歯化石というべきか、いや、2020年現在であれば、ティラノサウルスの幼体の歯化石というべきでしょう。先端まで保存された非常に美しい歯化石です。ほとんどのエナメル質が保存されていて、その複雑で味わい深いパターンを確認できます。
両面ともに極めて上質のエナメル質が保存されています。
根本はやや太めで、円環状のエナメル質が保存されています。
100円玉との比較。カーブ計測で47ミリの非常に美しい歯化石です。
商品スペック
商品ID | di1248 |
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年代 | 中生代白亜紀(1億3500万 -- 6600万年前) |
学名 | 非常に美しいエナメル質とフォルム!幻の恐竜、ナノティラヌス・ランセンシスではなく、ティラノサウルス・レックス(Tyrannosaurus rex)の幼体の歯化石 |
産地 | アメリカ・ヘルクリーク累層 |
サイズ | ロングカーブ計測4.7cm |
商品解説 | 非常に美しいエナメル質とフォルム!幻の恐竜、ナノティラヌス・ランセンシスではなく、ティラノサウルス・レックス(Tyrannosaurus rex)の幼体の歯化石 |
ティラノサウルスとは?
白亜紀の暴君、最強の恐竜、ティラノサウルスの知られざる秘密
1990年に発見された通称スーが最大の化石骨格で体長13m、推定体重は6tです。これはアフリカ象の中でもスーパーヘビー級の固体と同等かそれ以上の体重です。
異様に大きく、巨大な頭部骨格
最強の恐竜といわれるティラノサウルスは、体から比べても相当に頭部骨格が大きいことが分かっています。太くて長い歯、頑丈で大きなアゴを使い、獲物の肉を食いちぎり、噛み砕くように進化したのでしょう。これは他の獣脚類であるスピノサウルス、アロサウルス、アルバートサウルス、ディロング、タルボサウルス等と比べても、言えることです。
異様に小さい前肢
体はがっちりと巨大で、それにふさわしい後肢とかぎ爪を持っていましたが、それに比べて前肢は極端に小さいことで有名です。前肢は基本的に仮に使用していなかったのかもしれません。前肢の用途についてはさまざまな説があります。面白い説としては起き上がるときに補助的に使用した、というものがあります。
巨体を支える合理的な肢先の構造
1m近く巨大な足の甲から爪にかけての構造は非常に合理的に出来ており、6tにも及ぶ現生の巨像をはるかに超える体重をしっかりと受け止めることができました。研究者によれば、この肢の甲に構造には体重を支える特別な構造をしていたことが分かっています。
巨大な後肢は、他の獣脚類の中でも最も比率が大きいことが分かっています。巨大な頭と巨大な肢で特徴付けられるのがティラノサウルスであるといえます。
ティラノサウルスの眼
ティラノサウルスの眼は現生の肉食動物のライオンやトラと同様、前方を見据える形についていました。これはティラノサウルスは外敵が少ないハンターであったことをあらわしています。草食動物のように常に周りからの攻撃に配慮する必要がある動物の眼は左右が離れて付いています。
ティラノサウルスの嗅覚
ティラノサウルスの嗅覚は非常に発達していたと考えられています。わずかな血のにおいも見逃さなないハンターの鼻です。
画像「tyrannosaurus」『フリー百科事典ウィキペディア日本語版』。URL:http://ja.wikipedia.org
シカゴのフィールド博物館
ティラノサウルスの歯
ティラノサウルスの歯は非常に太く長いのが特徴です。他の獣脚類に比べてもその特徴は明確で、切り裂くというよりは噛み砕くのに適していました。歯根(歯額の中に埋まっている部分)も非常に長かったという事実がよりこの特性を裏付けています。歯茎より上、つまり見えている部分が7-8cmにも関わらず、歯茎に埋まっている部分が22-23cmという化石が実際に発見されています。
ティラノサウルスには羽毛があった?
一部の研究者によれば、ティラノサウルスは羽毛で覆われていた、という説があります。寒暖の激しい期間を乗り切るために、体を温めるために羽を持っていたというのです。また、他の説では子供のころに羽毛があったとしても、大人になれば体温が高くなることが考えられ、完全になくなっていたのではないか、というものがあります。そもそも、この羽毛論の発端は、同じ獣脚類であるコエロフィシスやディロングの羽毛の痕跡付き化石が発見されたことにあります。コエロフィシスやディロング(ファイナルファンタジーのチョコボにそっくり)はかなり小さい恐竜であることから体温を失いやすく、羽毛をまとっていたのかもしれません。そうであれば少なくともティラノサウルスの子供には羽毛が存在した可能性はあります。
ティラノサウルスの寿命は何歳?
前述の巨大化石、「ス-」を調べると、年齢は28歳であることが分かりました(骨の状態で判断が可能)。また、化石を詳しく調べると、かなり痛んだ骨であることが分かり、寿命が近いのではないかと考えられました。従いまして、ティラノサウルスの寿命は30歳前後だと推測されています。ティラノサウルスは20歳くらいまで成長し、その後、徐々に老化していきました。5歳以下の若いティラノサウルスは必ずしも最強とは言えなかったようです。
ティラノサウルスは脚が速い?遅い?
ティラノサウルスはどのくらいの速度で走ることが出来たのでしょうか。一部の研究者は時速60kmで走ることができたと主張しましたが、現在では、骨や体のバランスなどから時速30kmにも満たない速度だったと考えられています。この点からトリケラトプス。エドモントサウルスのような比較的鈍足の草食恐竜を身を潜めて待ち伏せして狩をしたのではないかと考えられます(実際にトリケラトプスの化石からティラノサウルスの噛み跡が発見されています)。またワニなども狩りの対象になったと考えられています。
ティラノサウルスの狩りは単独行動?それとも集団行動?
ティラノサウルスと同じ北米の大型獣脚類のアルバートサウルスが大人と子供の化石が同箇所で発見されたことから、獣脚類といえど、集団で狩りをしていたことが明らかになりました。このことから、ティラノサウルスもその可能性があるのではないか、と考えられています。
死肉もあさった?
ティラノサウルスの嗅覚は非常に敏感であることから、死体のにおいをかぎつけることは容易であったと考えられます。その為、死肉をあさることも決して珍しくなかったでしょう。
ティラノサウルスの起源はアジアにある
恐竜コレクターの永遠のアイドル、ティラノサウルスにも同じタイプの仲間が世界各地に沢山いました。ここで簡単に紹介しましょう。
我々日本人にとってうれしい?事実
ティラノサウルス類は実はアジアから生まれました。ティラノサウルスの仲間は中生代の白亜紀になってアジアに現れました。この頃のティラノサウルスの祖先は非常に小さく、体長3mにも満たないものでした。彼らが当時、アジアとつながっていた北米へと渡り白亜紀後期にあの超巨大獣脚類のティラノサウルスが現れることになったのは意外と知られていません。さて、そのアジアで生まれた祖先をご紹介します。
シャンシャノサウルス 体長 3m 白亜紀後期 中国
さてなぜシャンシャノサウルスはティラノサウルスの仲間と判明したのでしょうか。それは、ティラノサウルス類に共通の特徴が存在したからです。
ティラノサウルス類共通の特徴
頭部骨格の眼の後ろの部分がBの字をしている左右の鼻の骨が結合し、強固になっている
この特徴を持った恐竜が世界各地で見つかり、ティラノサウルスの仲間であると考えられています。当時世界はアフリカを除いて陸続きであったことから、アジアから北米に大きく移動していきました。移動するたびに体を大きく、白亜紀後期それも隕石衝突の直前に最も巨大化します。それが皆さんがよく知るティラノサウルス・レックスなのです。
モンゴルアリオラムス 体長 5m
タルボサウルス 体長 9m
アレクトロサウルス 体長 5m
北米 アウブリソドン体長 3m
ダスプレトサウルス 体長10m
アルバートサウルス 10m
ゴルゴサウルス 9m
実は日本にもティラノサウルスの仲間がいたといわれています。つまり、前述の特徴をもった恐竜の化石が発見されました。石川県白山市でただ1本の歯が発見されています。
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