魚竜
恐竜が生きた時代である中生代になると、魚竜(ぎょりゅう)が現れます。魚竜とは、爬虫類が進化して、一生を海で暮らすようになった生き物のことです。一生を海で暮らす生き物として、魚類(ぎょるい)がいますが、魚竜と魚類はまったく違います。
魚竜は恐竜と同じ爬虫類です。
魚竜の形は魚そっくり
イクチオサウルス http://ja.wikipedia.org/参照
一生を水で暮らすようになった魚竜は形を進化させ、三日月形の大きな尾びれを持つようになります。これで長距離を泳ぐことができるようになり、これまでの”チョイ泳ぎ”しか出来なかった水陸両用の爬虫類とは一線を画すようになりました。
異様に大きな眼
魚竜の特徴といえば、体にくらべて異様に大きな眼です。眼の周りは太く大きな骨で覆われているのです。これは、高速で泳いだとき、眼に掛かる圧力から眼球を守る役割があったと言われています。まさに泳ぎ専門の眼なのですね。
口の細かい歯
まるで現生の哺乳類であるイルカのような口をしています。これは、当時の海に生息していた魚やイカ、アンモナイトなどをがっちり捕まえるのに大変適していたようです。
前足のヒレ
魚ではないので、ヒレと呼ぶべきか分かりませんが、イルカなどのヒレとそっくりの前足をしています。
特徴的な三日月形の尾びれ
この巨大な尾びれを左右に振ることでスピードを出していたと考えられています。この尾びれの形や振り方から、現生のマグロのような泳ぎ方をしたのではないか、と思われています。その為、マグロ同様、かなり早く泳げたのではないでしょうか。
竜の種類
魚竜にはさまざまな種類がいました。
・ウタツサウルス 平均全長2.3m 三畳紀前期
1970年に宮城県歌津町で発見されました。この地層は三畳紀前期ですから、中生代に入って直後にウタツサウルスは現れたことになります。世界で最古の魚竜といえます。後頭部がやや膨らんでいることから、陸生は虫類の名残を確認することが出来ます。いかにも魚竜に進化してまもない形状をしています。
・ジュニサウルス 平均全長21.0m 三畳紀後期 アメリカ
海生は虫類としては、最大の生物です。前足と後足がほぼ同じ大きさです。ジュラ紀の魚類とはこの点で大きく違います。
・イクチオサウルス 平均全長2.0m ジュラ紀前期、産地イギリス、ドイツ、カナダなど
最も有名な魚竜の一つ。三畳紀を終えジュラ紀前期になって現れた進化型の魚竜です。他の魚竜と比べて前足が大変大きくなりました。
・オフタルモサウルス 平均全長3.5m ジュラ紀後期 産地イギリス、北米、南米など
ジュラ紀後期になって現れた進化型の魚竜。アメリカ大陸でも産出する。
・ユーリノサウルス 平均全長2.0m ジュラ紀前期 産地ドイツ、グリーンランドなど
ジュラ紀後期になって現れた進化型の魚竜。上あごが以上に長く、カジキのような形をしていた。
魚竜は、卵を産まずに水中で赤ちゃんを産んだ!
ジュラ紀前期に現れた進化型の魚竜であるステノプリギウスの化石の研究から驚くべき事実が明らかになりました。成体と赤ちゃんを同時に確認できる化石が見つかったのです。このことから、魚竜は、卵生ではなく、赤ちゃんを産む生き物だったことが分かりました。しかも、子供がおぼれないように、尻尾から出ることも分かりました。
なぜ子供を産むように進化したのかさまざまな説がありますが、最も有力なものは、外的から赤ちゃんを守るため、というものです。腹の中で卵を育てある程度大きくなったところで、外部に出せば、赤ん坊は既にある程度の大きさになっており、生存確率が高くなったという考えです。
赤ん坊を産んだ海生は虫類は他にもいた!
さらに時代が進んだ白亜紀では最強の海生爬虫類と名高いモササウルスも水中出産したのではないかと考えられています。
魚竜と海生は虫類って違うの?
正確には違います。海生は虫類とは、単に、海で生息したは虫類のことで、魚竜とは、その中でも、一部の種を指しています。具体的には、有名なイクチオサルスは海生は虫類であり、魚竜でもあります。ネッシーなどで連想されるプレシオサウルス(首長竜)は海生は虫類ではあるけれども、魚竜ではありません。