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ティラノサウルス
ティラノサウルス(Tyrannosaurus)は、中生代白亜紀末・マーストリヒト期(6800 - 6500万年前)に生存していた恐竜で、大型獣脚類の一種。学名Tyrannosaurusのラテン語綴りの読み方の違いからチラノサウルスやティランノサウルスなどと表記される[1]こともあり、かつて和名として用いられた漢字表記は暴君竜である。
ギガノトサウルス、スピノサウルス、カルカロドントサウルス、エパンテリアス等と並び、かつて地球上に存在した最大級の肉食恐竜の一つである。また恐竜全体の代名詞といえるほど有名な存在で、『ジュラシック・パーク』等の恐竜をテーマにした各種フィクション作品においては脅威の象徴、あるいは最強の恐竜として描かれ強い人気を誇る。
「ティラノサウルス」という名称は特に断りのない場合は属名を表す。ティラノサウルス属の種として広く認められているのは現在のところレックス(Rex)のみであり、ティラノサウルス・レックス(学名の略記T.rexにちなみT・レックスとも)という呼称が近年のポピュラーカルチャーで多用されたことから、著名な恐竜としては例外的に属名と種名を併せた名称が一般に浸透している。「ティラノサウルス」(τυραννο?-σαυρο?)はギリシア語で暴君のトカゲ”、「レックス」(Rex)はラテン語で王を意味し、両方合わせて”暴君トカゲの王”といった意味合いである。
骨格標本から推定される成体の体長は約11~13mで、その体重は概ね5~6tと推測されている(体重に関しては異説も多い)。発見されているティラノサウルスの化石はそれほど多くはなく、2001年の時点では20体程度であり、そのうち完全なものは3体のみである。
ティラノサウルスの上下の顎には鋭い歯が多数並んでいるが、他の肉食恐竜と比べると大きい上に分厚く、最大で18cm以上にも達する。また、餌食となったとみられる恐竜の骨の多くが噛み砕かれていたことから驚異的な顎の力を持っていたと考えられ、その力は少なくとも3t、最大8tに達したと推定される。これらの事実から、ヴェロキラプトルのような小・中型獣脚類が爪を武器として用いていたのとは対照的に、ティラノサウルスは強大な顎と歯のみを武器として使用していたと考えられている。
ティラノサウルスの実物大復元模型体の大きさに比して前肢は異常に小さく、指が2本あるのみで、用途は未だにはっきりとしていない。ただしその大きさのわりにはかなり大きな力を出せたことがわかってきている。逆に頭部は非常に大きく、それを前肢の代わりに上手く活かしていたのではないかと考えられている。また、進化の過程で体の前方が重くなったため、前肢を短く軽くすることでバランスを取ったとする見解もある。
ティラノサウルスとその類縁種(ティラノサウルス上科)は、脚の速いオルニトミモサウルス類(ダチョウに似た恐竜群)と共通の特徴であるアークトメタターサルを有していた。アークトメタターサルとは、第三中足骨が、第二、第四中足骨によって挟み込まれ、上端が押しつぶされる形態のことを指す(メタターサル(metatarsal)は中足骨のこと)。近年の研究によると、第三指骨および中足骨に負荷が加わると靭帯の働きにより第二、第四中足骨が中央に纏められ、負荷の方向を一直線にすることで俊敏性を増すのに役立っていたと考えられている。また靭帯の損傷も防げたのではないかと推測される。このアークトメタターサルはオルニトミモサウルス類との共通先祖から受け継いだ形質だと思われていたが、それを持たないティラノサウルスの先祖種の発見から現在では収斂進化によるものとされている。