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さまざまな水晶のバリエーション
水晶とは、透明な石英の総称です。有史以来、人工的にガラスを製造できるようになるまで、ほとんどあらゆる種類の容器が石英の結晶を加工して造られてきました。
内部に含まれる副成分によって、さまざまな色を呈し、そのバリエーションは多様です。ここでは弊社の取り扱い標本から、いくつかの例をお示しします。
無色透明の最も一般的な水晶
自然の石英は柱状結晶を作ります。モース硬度7とかなり硬い鉱物ですが、比較的加工がしやすく球に磨かれた石英は古来より存在します。水晶はその美しさ・神秘性から、言い伝えが多数あります。その一つをご紹介しましょう。シャーマニズムでは、普段見ることができない非現実的な世界を水晶を通じてのぞくことができると考えられています。オーストラリアの先住民のアボリジニーや北米のインディアンの間では、水晶は身につけた人の身を護ってくれたり、将来を予測してくれる道具として使われてきました。また、水晶はその昔、氷(こおり)で、あまりにも硬く固まったため、溶けなくなったものと考えられていたそうです。面白いですね。
曇り水晶(ミルキークォーツ)
白色ないし灰色でほぼ不透明な石英を曇り水晶とかミルキークォーツと呼びます。色が乳白色である点以外は無色透明の一般的な水晶と変わらない性質を持っています。実際、無色透明の水晶とミルキークォーツは同じところで見つかります。
乳白色に曇る要因は内部に微細なガスや液体が含まれていることです。実は石英のほとんどは程度の差こそあれ、このミルキークォーツなのです。
バラ石英(ローズクォーツ)
半透明から透明でピンク色を呈する石英をバラ石英(ローズクォーツ)と言います。無色透明の水晶と違って、柱状結晶を作りにくく、塊となって見つかることが多いです。ピンク色の要因は微量のチタンが含まれていることです。またやや白っぽく見えるのは金紅石(きんこうせき。二酸化チタンからなる鉱物)の針状結晶が含まれているためです。
紫水晶(アメシスト)
紫色を呈する石英を紫水晶(アメシスト)と呼びます。アメシストは宝石として名が知られていて、上質なものは高値で取引されます。名前の由来はギリシャ語で「酔っ払っていない」という意味のamethustosという言葉です。古来には、本当にアメシストには酔い防止効果があると思われたそうです。紫色は現在でも威厳ある希少な色と思われているように、アメシストは古来から権威、純粋の象徴として、王侯貴族に重宝されてきました。
アメシストは昔から知られた宝石の一つです。古代メソポタミア文明ではアメシストはもっとも大切にされた石の一つで、所有者の名を彫り込んだ道具(今でいうところの印鑑)を作るための素材でした。その印鑑を用いて重要書類にサインをしていたのです。まさに権威の代わりだったのですね。
古代エジプト人はまさに宝石としてアメシストを珍重していました。アメシストの中で最も価値が高いのは、深く濃い紫を呈するものとされています。赤みを帯びていればなお良いとされています。
黄水晶(シトリン)
黄水晶は文字通り、黄色を呈する石英です。黄色の要因は水酸化鉄を含んでいることです。天然の黄水晶は紫水晶(アメシスト)よりも希少です。紫水晶を加熱すると黄色っぽくなるので、人工的なシトリンがそのようにして造られることがあります。
ファントムクォーツ
石英の内部に別の石英が含まれているものをファントムクォーツと呼びます。内部の石英の面に気泡や副成分が入り込むと微妙に色が変化します。その独特の変化をファントム(幽霊)とよんでいます。緑色のファントムは緑泥石によるもの、赤褐色は水酸化鉄によるものとされます。