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希少な原始クジラ「ドルドン」の前側の歯根付き歯化石/【ot835】
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希少な原始クジラ「ドルドン」の歯化石です。ロングカーブ計測で7.5cm。
「槍のような歯」という意味のドルドン。まさに、この写真の印象の通りの名前がついた生物です。クジラというと、現世では、比較的おとなしいイメージがありますが、原始クジラはそうではありませんでした。このような歯を活かし、食物連鎖の頂点に存在していたと考えられています。
ドルドンの姿形は、本ページを下方にスクロールしていただくとイラストが掲載されていますので、御覧ください(説明はバシロサウルス)。クジラと言いながら、現世のクジラとは似ても似つかない形状をしています。むしろ、中生代白亜紀の海生爬虫類モササウルスに近いかもしれません。
歯の形状から言っても、クジラというより、モササウルスに近いかもしれません。中生代の終焉により、食物連鎖の頂点に居たモササウルスが絶滅ししばらくして、原始クジラが登場します。ドルドンは最大7-8mまで成長したと考えられています。現世のシャチと同等か一回り大きなサイズだったことでしょう。同じく原始クジラのうち最大級のサイズを誇るバシロサウルスは、なんと20m近くまで成長しました。
写真左側が歯根(歯茎に埋まっていた部分)、右側の色が濃い部分が歯冠(獲物をとらえた部分)です。ドルドンの歯化石としては平均的ですが、歯根を残している、という点で大変希少です。
モササウルスと全体形状では似ていますが、モササウルスは爬虫類であるのに対して、ドルドンは哺乳類です。哺乳類の特徴の一つとして、異歯性(いばせい)があります。異歯性とは、部位によって歯の形が異なるという特性のことです。つまり前歯と奥歯で歯の形が大きく異なる場合があるということです。今回の標本は前歯になります。奥歯はおにぎりのような三角形の歯冠を持っています。このような特徴は海生爬虫類にはありません。
古代に実在した恐ろしい捕食者。ドルドンの歯化石です。平均的なサイズですが、歯根が残っている希少な標本です。モササウルスの歯化石のオーナーの方には、新旧捕食者の歯化石の比較展示として楽しんでいただきたいと思います。
商品スペック
商品ID | ot835 |
---|---|
年代 | 新生代(6600万年前 -- 現在) |
学名 | 希少な原始クジラ「ドルドン」の前側の歯根付き歯化石 |
産地 | Morocco |
サイズ | カーブ計測7.5cm |
商品解説 | 希少な原始クジラ「ドルドン」の前側の歯根付き歯化石 |
バシロサウルスとは?
バシロサウルスは、現在からおよそ4千万年前に実在していた原始的なクジラである(現在は絶滅)。
現世のクジラとは明らかに異なる体躯を持っている。すなわち、蛇のような長い体に、モササウルスのような恐ろしい顔つき、鋭い歯。
事実、当時の食物連鎖の頂点に君臨していた、海のハンターであった。
古代クジラの最大の種であり、成体では最大18mに達したとされる。
遠洋能力は低く、主に浅海に生息していたとされる。
現世のクジラとは異なり、脳の容積は小さく、社会性を有してはいなかったと考えられる。
中生代の捕食者モササウルスのような長いあごを持ち、鋭い歯を何本を持っていた。
バシロサウルスの名称は、王様のトカゲの意味を持っているが、実際にはトカゲではなく、哺乳類である。これは、化石の発見当時は、モササウルスのような爬虫類であると考えられた名残である。
バシロサウルスの最大の特徴の一つ、異歯性とは?
このように多くの共通点を持つ両者ですが、バシロサウルス科にしかない特徴があります。
それは異歯性(いばせい)です。
異歯性とは、文字通り、一個体の生物において、異なった形の歯を持っていること、を言います。
そんなに珍しいことなのか?
と思うかもしれません。
結論からいうと、ありそうで無い、かなり珍しいことなのです。
下のイラストはバシロサウルス科の生物の下顎のシルエットです。
前歯、ミドルセクションの歯、奥歯によって、歯の形が異なることがお分かりでしょうか?
前歯は、比較的直線的で、ギザギザした(鋸の歯)部分がありません。
一方で、ミドルセクションの歯は、ギザギザしており、かつ三角状のおにぎりのような形をしています。
奥歯は、ギザギザしており、かつ三角ではなく、一方向に向いた独特の形をしています。
繰り返しになりますが、このように、一つの生物でも、違う形をした歯を持っていることを「異歯性」と言い、バシロサウルス科の生物はその典型と言えます。
このような特徴は爬虫類ではあまり観察されません。
コラム:「新生代の海の支配者、バシロサウルス科(古代クジラ)の生物は、前時代の支配者と何がちがうのか?」も合わせてお読みください。