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最も希少な化石コレクションの一つ、新たに入手できないオールドコレクション品。博物館級、およそ5000万年前ドイツ・メッセルピット産のコウモリ(Palaeochiropteryx tupaiodon)の化石/【ot2204】
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こちらはドイツ・メッセルピット産のコウモリ、パレオチロプテリクス・ツパイオドン(Palaeochiropteryx tupaiodon)の化石です。パレオチロプテリクスはおよそ5000万年前に生息していた小型の絶滅コウモリです。メッセルピットは1995年に世界遺産に登録された世界的な化石の名産地です。世界遺産に登録された後、新たに採集された化石がマーケットに出回ることがありません。現在、入手が可能なのは、このような標本、つまり、それ以前の、採掘が可能だった古い年代に採集されたものだけになります。こちらは、数十年前に日本国内に入り、コレクターのもとで永く眠っていた、極めて希少な化石なのです。
およそ12センチの母岩の中央に鎮座おはします本体の大きさはおよそ6センチ強。骨や歯、そして軟組織らしきものまで確認できる、極めて保存状態の良い化石です。メッセルピットが世界遺産に登録されたのは、このような世界的に見ても素晴らしい保存状態を示す標本を多数産出するというのも一つの要因でしょう。なぜ、これほどまでに状態の良いものが多いのでしょうか。メッセルピットはもともとオイルの採掘場でした。オイルを多く含む瀝青質の岩質が化石を風化から守り、他産地では見られない、驚くほど保存状態の良い標本を生み出したと言われています。メッセルピットは湖であったとも言われていて、コウモリが有毒ガスなどを吸って、落ち、オイルに取り込まれ化石になった、という話もあります。
写真中央を御覧ください。はっきりと歯列を確認することができます。
また翼として機能する前肢が折りたたまれた状態になっているのもよく確認ができます。写真右側の骨と骨の間には独特の凹凸のある軟組織のような部位が確認できます。皮膜が保存されている可能性が否定できません。
黒っぽい岩質はオイルが含まれていたことを意味します。いわゆる瀝青質の母岩です。
メッセルピットの化石はこのような四角形あるいは長方形にきれいにカットされたものが多いですが、なぜだがご存知でしょうか。メッセルピットから採集された化石は母岩が比較的脆いため、採集の際に、本体が傷つかないように、樹脂で固めます。そのあと、樹脂を含め母岩をきれいにカットするため、このような美しい四角形をした標本が多いのです。化石の移動方法については、岩質によって様々な手法が世界各地で編み出されています。モロッコ産のスパイニー系の三葉虫の安全な移動方法などもコレクター間ではよく知られていますね。
こちらが裏面です。
厚みはおよそ1センチ。非常にしっかりしています。
1970年代に採集されたときから、状態が変わっていないと思われるほど、極めて美しい化石標本です。
この歯化石は圧巻ですね。数少ないパレオチロプテリクスの化石のなかでも、ここまではっきりと歯列を確認できる標本はほとんどありません。紛れもない博物館級の化石です。
100円玉との比較。今や新たに入手ができない、メッセルピット産の小型のコウモリ、パレオチロプテリクス・ツパイオドン(Palaeochiropteryx tupaiodon)の化石です。世界的に希少な標本ですから、これまで通り、今後も大切に保管してくださる、化石愛あふれるコレクターの方にお譲りしたいと考えています。ご理解の程よろしくお願いいたします。
商品スペック
商品ID | ot2204 |
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年代 | 新生代第三紀(6600万--260万年前) |
学名 | 最も希少な化石コレクションの一つ、新たに入手できないオールドコレクション品。博物館級、およそ5000万年前ドイツ・メッセルピット産のコウモリ(Palaeochiropteryx tupaiodon)の化石 |
産地 | Germany |
サイズ | 本体直線計測6.4cm×4cm プレート全体13cm×12.3cm×厚1cm |
商品解説 | 最も希少な化石コレクションの一つ、新たに入手できないオールドコレクション品。博物館級、およそ5000万年前ドイツ・メッセルピット産のコウモリ(Palaeochiropteryx tupaiodon)の化石 |
ドイツの世界的化石名産地、メッセル・ピット(Messel pit)とは?
世界的な化石の産地、メッセルピットとは?
ドイツ・メッセルピットで採集されたマクロクラニオン・ツパイオドン(Macrocranion tupaiodon)の全身骨格化石。弊社売却化石。
メッセル・ピットはおよそ5000万年前の生物の化石を産することで知られています。5000万年前といえば哺乳類が大繁栄を迎える少し前の時代です。6500万年前に白亜紀、すなわち中生代が終了し、陸上においては恐竜、海中においては海生爬虫類が絶滅しました。その後哺乳類と鳥類が、恐竜と翼竜に替わって、その地位を占めました。始新世の中頃(およそ4000万年前頃)には、現世の哺乳類の多くの目(もく、大まかなグループのこと)が出現しています。
その時期には、まだ北米とヨーロッパは陸橋によってつながっていました。そんな中で、現在のドイツにあるグルーベ・メッセルは、当時、湖水群の一角にあったことが分かっています。
メッセル・ピットでは哺乳類を中心に多数の化石が採集されています。その保存状態は驚くほど良好です。
もともと、メッセルピットは炭鉱だった。
ドイツ・メッセルピットで採集された鳥の全身骨格化石。弊社販売化石。
1995年に世界遺産に登録されたメッセル・ピットですが、化石の採集の歴史は古く、1875年にさかのぼります。このとき、ワニの化石が発見されたことを皮切りに、その後20世紀にたくさんの化石が発見、採集されました。
メッセル・ピットはピットの名にあるように、もとは炭鉱で、赤鉄鉱を目的に採掘が開始されました。その後、オイルシェールの採掘が始められ、その活動のなかで化石が多く見つかりました。
1970年代に入ると、州政府が産業廃棄物の集積場にしようと計画をしたため、多くのアマチュア化石愛好家、研究者、学者から反対の声が上がり、廃棄物で埋められてしまう前に、貴重な化石を採集、保存しようと採集熱が高まった、という経緯があります。
その後、1987年にメッセル・ピットに関する国際シンポジウムが開かれ、1990年代に入ってやっと、産業廃棄物集積所になる運命を逃れることができました。
脆弱な岩質のため、特別な化石の保存方法、トランスファー法が開発された。
ドイツ・メッセルピットで採集されたヘビの全身骨格化石。弊社売却化石。
メッセル・ピットの化石、特に哺乳類の化石には独特の保存方法が採用されてきました。
1970年代、メッセル・ピットでの主な化石の採集方法は、まず大きな石を取り出し、層理面に沿って、薄く石を剥いでいくことからはじめました。母岩が頁岩のため、薄い石が何枚も重なっているような状態です。
この頁岩は瀝青質、つまりオイルを含んでいるため、乾くと、縮み、破損が起こります。そのため、研究室やクリーニング施設に運搬する間は、湿った状態に保つ必要がありました。当時は、水を通さないプラスチックなどで包んで湿度を維持したようです。
室内に運搬できたら、1960年代に開発された、移し替え(Transfer)のテクニックが用いられました。
化石の湿度を維持した状態で、顕微鏡等で確認しながら、骨のまわりの母岩(頁岩)を慎重に取り除いていきます。出来得る限り除去したら、なんと樹脂で全体を覆うのです。
樹脂が固まると全体をひっくり返して、裏側も同様に母岩を慎重に除去していきます。そして、再び出来得る限り、骨を露出させるのです。
最終的に、樹脂のなかに骨(の化石)だけが保存されることになります。樹脂で固定されているため、もう化石が傷む心配がありません。
一部のメッセル・ピットの化石が樹脂のなかに浮かぶように保存されているのは、このためなのです。
トランファーのテクニックとは、骨だけを残し、周囲を脆い頁岩から強固な樹脂に移し替え(Transfer)る、という意味です。脊椎動物には特に有効だったようです。こうして、瀝青質の頁岩という強敵を見事に手なづけることに成功しました。
メッセル・ピットから産する化石の保存状態が良い理由
ドイツ・メッセルピットで採集されたコウモリの全身骨格化石。弊社販売品。
メッセル・ピットから産する化石のなかには、軟体部が保存されているものも存在します。
通常、骨以外は化石として残りません。
ところが、メッセル・ピットの地層のある特徴が、これを可能にしているのです。
メッセル・ピットはオイル・シェールが採れることで有名です。15%のケロジェン(石油)が含まれていて、これは石油の原料として価値が高く、ゆえに開発の対象となったのです。
普通の堆積環境では、オイルを含め有機物はバクテリアに分解されますが、なぜかメッセル・ピットでは、それが起こりませんでした。一説によれば、5000万年前の当時、亜熱帯雨林で、湖底には大量の藻が集まっていたとされています。すると、湖底には酸素が不足し、有機物が分解されなかった可能性があります。
有機物が分解されないままでいると、ケロジェン、すなわち石油に変わります。生物の遺骸も分解が進まず、極めて保存状態の良い化石になった可能性は十分に考えられます。
メッセル・ピットから比較的大きな哺乳類の化石が見つかる理由
メッセル・ピットから、コウモリ、ネズミ、鳥、ウマなど比較的大きな哺乳類の化石が採集されます。
一方で、昆虫類の化石は比較的少ない、という特徴があります。
これは、ある程度の体重がなければ、湖底に沈まず、湖面に浮いてしまい、化石にならないから、という説が有力です。