恐竜と怪獣の尾にみる違い

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 カテゴリ:化石ニュース 作者:

こんにちは。今日は恐竜と怪獣の尾についてのお話です。

恐竜と怪獣の違いわかりますか?

 

いきなりですが、恐竜と怪獣の違いは何だと思いますか?

なんとなくはわかるけど、聞かれてみると結構返事に戸惑いますよね。

 

恐竜は、ずばり、「地球上にほんとうにいた動物」です。

2億3000万年前に現れ、6500万年前までもの間、恐竜が地球上に確かに存在し

様々な種が繁栄しました。

恐竜は、りくの上に住んでいて、二足歩行していた巨大なはちゅう類です。

 

テタヌラ類メガロサウルス

 

怪獣はというと、こちらは人間が想像して作った架空の生物で、

昔生きていたというわけではありません。

ゴジラやモスラなど、ガメラなどはファンタジーの生き物に入るわけです。

 

怪獣といえば、個人的な意見かもしれませんが、体は立った状態で、尾っぽが

地面につき引きずった状態で歩いているイメージがあるのですが、みなさんはどうでしょうか?

そして恐竜にくらべると体つきはかなりごつい感じです。

尻尾がピーン!

 

それに対し、恐竜はいわゆる獣脚類のテタヌラ類を指しますが、尾がピーンとのびた状態で

頭と尾は地面と水平に保っています。

 

この違いは面白いです。

スピノサウルス、メガロサウルス、アロサウルスや、ティラノサウルスも

この「ピン!」とした尾を持つ恐竜なのですが、尾の姿勢が、いかにも恐竜らしい

といった感じがでていると思いませんか。

テタヌラ類スピノサウルス

テタヌラ類アロサウルス

 

そもそもなぜ恐竜はこんなピンとした長い尾を持っていたのかというと、

大きな巨体をバランスをとって歩くためだと言われています。

 

現生の動物ではこのような形は見かけませんよね。

だから、初期の恐竜の復元イメージは、現生のトカゲのように

長い尻尾はだらんと垂れて、体を支える役目として描かれている図でした。

 

 

たった数十年前までは、いわゆる「怪獣」の体つきのような感じで

ティラノサウルスが描かれていたのです。

歩くときは、人間のように体をまっすぐにして、尾で体の体重を支え

ながら歩いていたとされていました。

 

今の常識考えると、何だか面白いですよね。

でも、研究が進んだからこそこれはおかしい、ということになったのです。

 

ティラノサウルス・レックス

 

まず、尾を引きずると、体の重心が足の付け根よりも上になるため、

どうやっても歩幅が小さくないと前に進めません。

 

まるで舞妓さんのようにおしとやかにちょちょちょっと歩くティラノサウルスを

想像してみてください。前足を大きく一歩出せないので、スピードもでなければ

獲物に追いつけそうにもありません。

 

足を大きく一歩前に出そうとすると、体のバランスがくずれやすくなります。

そのために長い尾は大きくふってバランスをとる役目が必要だったのです。

 

頭と尾を水平にした歩き方だと、体の重心は前方向に傾きます。

体が前に傾くと、自ずと前へ歩みを進める一歩が大きくなるのです。

尾はまっすぐにしてバランスを微妙にとっていますから、

あまりぶれることなく、安定した歩きが実現できたという訳です。

 

 

これも貴重な化石がある程度の個数発見されたことと、研究者たちの

たゆまぬ研究心、そして科学技術の進歩のたまもので分かったことです。

今後も、それまでは常識だと思われた見解があっという間に覆る、なんてことが

あるのでしょうね。

 

そういった意味で、我々をどんどんあっと驚かせてもらいたいものです。

未知の事実が潜んでいる化石の世界!楽しくてなりません。