酸素を発生させた証し化石、ストロマトライトの話
こんにちは!だんだん紅葉が楽しめる季節へと移行しつつありますね。
今日はストロマトライトのお話を。
みなさま「ストロマトライト」という名前をご存知でしょうか?
ストロマトライトというのは、先カンブリア時代に、初めて生物が光合成を行なったとされる
「シアノバクテリア」という微生物が作った生痕化石です。
生痕化石とは、生物そのものの化石ではなく、生物が確かにそこで活動していたとわかる
痕が岩石などに表れている化石のことです。
ストロマトライトは、酸素がまだなかった当時の地球に、シアノバクテリアが光合成をして
酸素を作り出した証しである、地球史の上でも大変稀少な化石です。
ストロマトライトが見つかるということは、そこに酸素を生み出す細菌、
シアノバクテリアが存在したということになるんですよ。
一番古いストロマトライトは27億年前のものが発見されていますから、少なくとも
27億年前よりあとに、海水中に酸素があふれ、次第に大気中にも広がっていったようです。
そんなストロマトライトのまん丸化石を化石セブンで入荷いたしました!
化石標本に表面に見える美しいしま模様は、シアノバクテリアが作り出したものです。
シアノバクテリアは藍藻(らんそう)ともよばれる真正細菌のことで、
光合成によって酸素を作る生物です。
現在も世界中の海や湖沼に存在しているものなんですが、先カンブリア時代に
このシアノバクテリアによって大気中に大量の酸素を送り出したとされています。
このシアノバクテリアは、0.002mmから0.01mmくらいの長細~い藍色の細菌
なのですが、生きている過程でベトベトした液をだします。
そのベトベト液に砂などがくっついて、次の日になると、積もった砂の上に
ニョキっと体を出して活動を再開します。
これを繰り返すと、砂とシアノバクテリアの層ができていき、縞模様となっていくのです。
これが固まって石になったのがストロマトライトです。
私たちが吸っている酸素を作り出した元になる化石、ストロマトライト。
いわば、酸素大量発生装置の証しともいえますよね!
ストロマトライトの化石自体は、19世紀後半にすでに見つかっていたのですが
これが生物が作り出したものなのかいまいち分からず、「クリプトゾーン」「コレニア」
「エオゾーン」など、さまざまな呼ばれ方をしてきたようです。
20世紀に入って、カルコウスキーという名のドイツの地質学者が
これらの縞状の岩石の化石を「ストロマトライト」と名付けました。
ストロマトライトは、ギリシア語に由来していて、stroma(bedcover)と
lith(rock)からきています。
「ベッドカバーのような石」という意味です。
大気中の21%を担っている酸素は、27億年前を起源として
我々の生きる現在まで引き継がれてきたのですね。
ちなみに時代区分で先カンブリア時代とでてきましたが、この時代は
地球が誕生した46億年前から約5億4200万年前の間の時代をこう呼んでいます。
古生代の初期にあたる時代「カンブリア紀」よりも前の時代ということで、
このような名前がつきました。もっとも長い時代区分です。
この時代の化石はあまり発見されていないのが実情で、まだわからないことが多い時代でもあります。
20億年も前の時代なんて、考えただけで気が遠くなるような話ですが、それが化石として
残って存在しているのですから本当に不思議です。
ストロマトライト化石で、地球の長い長い歴史を存分に感じてほしいと思います。