ワニのお話。
本日は、ワニのお話を。
恐竜といえば、トカゲのグループを連想する方が多いかもしれませんが、
実はワニのほうが恐竜に近いグループなんですね。
恐竜が陸上に生息していた中生代白亜紀、
ワニ類は地球上のあらゆる地域で、さまざまな形態をとって暮らしていました。
現在のワニは水辺で暮らしているのですが、
中生代のワニは何と陸で暮らすもの、海で暮らすもの、そして
穴の中で暮らすものもいたのです。
バリエーション豊かですね~。
陸で暮らすワニは、初期のワニ類で、
三畳紀ブラジルで繁栄したプレストスクス類や
ジュラ紀にアメリカで繁栄したプロトスクスなどが挙げられます。
彼らの目は、頭の横あたりについていて、
水中から顔をのぞかせるような目の位置にありません。
脚も、体に対して真っ直ぐ伸びてスラリとしていたので、どちらかというと恐竜に近いフォルムで
いわゆる現在のワニの雰囲気と異なっています。
穴でくらすワニは、白亜紀前期に生息した、
体長60cmほどのマラウイスクスというワニです。
地面に穴を掘って生活していたというのですから
「君はモグラか!?」
と突っ込みたくなりますが、本当にそのようです。
名前にもなっている「マラウイ」は、アフリカ大陸南東部に位置する国の名前です。
マラウイ共和国は、マラウイ湖の西岸にある南北に細長い国で、
タンザニア、モザンビーク、ザンビアの国境と接しています。
「マラウイ」で見つかったから「マラウイスクス」なんですね。
彼らは、昆虫を食べたり、時には植物も食べていたととも考えられているようです。
これには驚きですね。
ちなみに、ワニの名前は「~スクス」と名付けられているのは何故か?
と疑問に思われた方がいらっしゃるかもしれません。
これは、古典ギリシャ後で「スクス」 (souchos)が
「ワニ」の意味をもつことからきています。
さて、ワニというと、いかにも獰猛で、肉食で、どんなものをも噛みつくす・・・
といったイメージがあるものですから。。。
「ちょっと草食系なワニ」、も白亜紀にはいたのですね。
そして海で暮らしたというワニで有名なのは、メトリオリンクスという
ジュラ紀の地層から発見される体長3mほどのワニです。
彼らの面白いところは、体の構造が水中で暮らすために工夫がされているところです。
たとえば、尾は魚竜のように下向きに曲がって尾ヒレがついていましたし、
手に至っては、水かきが発達していました。
そして、ワニの象徴ともいうべき、体をまとう装甲は、退化して滑らかになって
見た目はつるつるっとしていたようです。
なんだか、こうなると、ワニなんだか何なんだか区別がつきそうにありません。
では、いかにもワニらしいワニは?
こう聞かれれば、やはりアメリカに生息した「デイノスクス」と、
アフリカに生息した「サルコスクス」が挙げられるでしょう。
両者は、いずれも全長11~12mを誇るとされているワニで、
史上最大級の肉食性は虫類です。
大きな違いは、「デイノスクス」がアリゲーター科、
「サルコスクス」がクロコダイル科という点でしょうか。
アリゲーター科もクロコダイル科も、背中が大型のウロコで覆われている点は
両者同じですが、口の形が異なります。
デイノスクスのようなアリゲーター科のワニは
口の幅が短く幅広い傾向があります。
サルコスクスのようなクロコダイル科のワニは、
口の形は細長く、口を閉じた時に、下顎の第4歯が
外から見える傾向にあります。(全ての種ではないですが。。。)
また、口が長い割に相対的に歯の数が少ない特徴を持っています。
サルコスクスはおよそ白亜紀前期の、そしてデイノスクスは白亜紀後期の
超巨大ワニとして知られています。
さて、両者は一体どちらが大きいのか?
この議論は、長きにわたってされているようで、それというのも、
見つかった化石が全身骨格でないというところからきています。
デイノスクスは、180cmにも及ぶ頭部の化石だけが見つかっています。
一方、サルコスクスは、1997年と2000年という、比較的最近になって
骨格化石の半分が発掘されています。
ここから両者の全長を推定するとなると、全身が見つかっていないため
なかなか難しい戦いになりそうです。
デイノスクスは、頭骸骨が発見された当初、15m級のワニとして話題
に上っていたこともあり、後に11~12mサイズへ変更したりと、見解が分かれています。
大きさに関しては研究者の間で議論が分かれているようです。
今後、両者の全身骨格は見つからないだろうか・・・。
この大きさ比べ、いずれ化石発掘によって決着がつくのでしょうか!?
楽しみに待ちたいと思います。
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