ティラノサウルスの直接の祖先は誰だ!?
言わずと知れたティラノサウルス。今日はティラノサウルスとその祖先について思いを巡らせてみました。
いきなりですが、ティラノサウルスが繁栄した時期はご存知でしょうか?
「 知ってるよ~中生代だよね。白亜紀後期だよね~。」
そういった声が聞こえてきそうです。
ティラノサウルスにお詳しい方ならちょっと失礼な問題だったでしょうか。
そうです、白亜紀後期です。恐竜の時代区分を分類するとき、通常はこれで終わってしまうのですが、白亜紀後期ってなんてざっくりした括りなんだ!!!
そう思われませんか?
だって、中生代という時代はかな~り長いんです。
中生代の始まりが2億5000万年、そして終わりが6500万年ですからざっと1億8500万年間も中生代です。
その中で時代区分がたった3つ!三畳紀、ジュラ紀、そして白亜紀。そして白亜紀のなかで前期と後期で終わり!あまりにもザクっとしていませんか。。。
「ティラノサウルス白亜紀後期に繁栄しました」って言われると・・・
そうなの?
でももっと詳しく知りたい~!!
ですから、調べてみました。
ご安心ください。
白亜紀のなかにもきちんとあと12個も時代が区切られています。
前期、後期ではなく、「ベリアス期」「バランジュ期」「オーテリーブ期」・・・という風に。
それらの名前は、かなり一般的にはマイナーだと思われます。無論、考古学に長けている方や、化石好きでマニアの方でかなり詳しい方は別ですけどね。
さて、またここで問題です。
ティラノサウルスは、「白亜紀後期に出現した」といわれていますよね。では、白亜紀が12に分けられた時代の中で、一体何番目の時代に出てきたでしょう?
うーん、後期というくらいだから、7番目以降だろう。それはそうですよね。
ではヒントを。
ティラノサウルスが生きた時代はおよそ300万年の間でした。
ヒントになっていない??
では、次のヒントです。
ティラノサウルスは、恐竜時代の最期種の生物として頂点に君臨していました。
あら、ほぼ答えを言ってしまいました。。。
そうですね。最期種ということは、ティラノサウルスが生きた時代は、12区分ある白亜紀の中の『12番目』の時代に生きていたんです。
もう、最期も最期です。
新生代は鳥類と哺乳類が繁栄したことで特徴づけられるように中生代は恐竜の出現とともに位置づけられる時代でありますから、ティラノサウルスは恐竜という生物の、最期の進化系の代表なんですよね。
そして中生代を終わりへと導いた大絶滅によって滅んでいくわけです。
進化系の最高状態にあって、強靭かつ捕食者の頂点であり、信じられない絶滅を迎える。生物としては、ある意味とてもドラマティックな種と言えます。
話題が尽きない、世界各地で人気で有名。それがティラノサウルス・レックスです。
でも、待てよ。そんなティラノサウルスを誕生させることになった直接の祖先は誰なんだ?
今度はそんな疑問が生まれます。
ティラノサウルスがいきなり現れるといったことはないだろうからどんな過程を経て誕生したのかを知りたい。こう思ったのであります。
ティラノサウウルスの仲間は、北米でなく、アジアで生まれたのですよね。
これ、結構意外と思われる方も多いのですが、白亜紀後期は、北アメリカの西側はアジアと陸続きになっていたので、ティラノサウウルスの祖先たちは、アジアから北アメリカへ渡ったんです。
北アメリカでティラノサウウルスは大きな種に進化して栄えたのですね。
ちなみに、ティラノサウルスは北アメリカの西部で発見され、東部では見つかりません。なぜでしょう?
白亜紀後期、北アメリカは地図の真ん中あたりで南北に浅い海が広がっていたそうなんです。海があっては西部に生息していたティラノサウルスは東部に行けなかった。
こういう単純な理由で東部ではティラノサウルスが発見されないようです。
さて、今のところ、ティラノサウルス・レックスの直接の祖先だという声が高いのは、「ダスプレトサウルス」という恐竜になります。
皆様、「ダスプレトサウルス」ご存知でしょうか?はっきり言ってダスプレトサウルスの名は、ティラノサウルスに比べてあまり有名でないかもしれません。
が、私は声を大にして言いたい!
彼らは、もっと有名になるべきだ!!と。
だって、恐竜の王様ティラノサウルスの直接の祖先とも囁かれている恐竜ですよ。
骨格も体格も酷似していて、極めて近縁だといわれ、実際ダスプレトサウルスはティラノサウルス属なのではないかとも言われ、ティラノサウウルス・トロススという名前も付けられたほどです。
ティラノサウルスと違うのは、時代区分です。
先ほどの白亜紀12の時代区分でいくと、ダスプレトサウルスは11番目の「カンパニア期」に生息していました。
白亜紀11番目に生きたダスプレトサウルス。ダスプレトサウルスに酷似した、12番目の時代に生きたティラノサウルス。
ほら、凄いことではないでしょうか!
ダスプレトサウルスは、恐竜の王様ティラノサウルスの一つ前の時代に生き、ティラノサウルスにDNAを引き継いだ存在なんですよ。
王様の大先輩にあたるダスプレトサウルスは何と表現したら良いのでしょうか?
大王様でしょうか??
いずれにしても、彼らの名がもっとあがってもいいと思うのは、当然です。
あの名スター選手を育てたのは、この親なのよね!!ではないですが、ティラノサウルスという大スター恐竜を誕生させたという意味では「進化の流れをつくったダスプレトサウルスよ、ありがとう!」といいたくなるのです。
ティラノサウルスと同等の大きな頭骨と恐るべき歯を持っているダスプレトサウルス。一時は、同じティラノサウルス科のゴルゴサウルスと同種にされそうになったりもしました。
個体数が非常に少ないにもかかわらず、どうにかティラノサウルスの祖先に最も近い存在として、その地位を守っているようです。
この恐竜はまだ知られていないことも多いので、今後の発見によってきっとその価値は上がるはず!
そんなことを思いながら、ダスプレトサウルスにエールを送る今日この頃です。
ティラノサウルス直系の祖先とされる、ダスプレトサウルスの歯をチェックしたい方はこちら!