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ドイツ・メッセルピット産のキクルルス・ケーレリ(Cyclurus kehreri)/【ot409】
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ドイツのフランクフルト市の南に位置するメッセルピット(Messel Pit Fossil Site)から採れた魚化石、キクルルス・ケーレリ(Cyclurus kehreri)です。
メッセルピット(Messel Pit Fossil Site)は、その名の通り、採掘場で、1995年12月9日にユネスコ世界遺産に登録されました。メッセルピットでは、もともと、低品位の石炭を採掘していました。この地域は、約5000万年前の地層があり、当時、熱帯の湖が形成されていたと考えられています。そのため、種々様々な生物が生息していました。その中心地にあったメッセルピットからは、様々な化石が産出します。
湖であったため、堆積の速度も遅く、湖底の無酸素状態もあいまって、非常に良質の化石を産出します。
このキクルルスという古代魚は、アミアの仲間です。アミアは現在の北米にも生息している古代魚の一種で、肉食です。日本にも観賞魚として輸入されることがあるようです。
現生のアミアは低酸素状態でも適応でき、魚類はもちろんのこと、甲殻類、昆虫、両生類なども捕食するそうです。この化石の古代魚もきっと同じような特徴を備えていたことでしょう。いかつい顔面がいかにも肉食であることを表しています。
特徴的な大きな尾びれ。メッセルピットらしい良い保存状態です。
メッセルピット産の化石は、微粒の砂が堆積してできた頁岩(けつがん)であるため、もろいため、表面を固める加工が施されています。
平面のように見えますが、実際は非常に立体的です。
裏側は樹脂で固められています。キクルルスのフォルムが透けて見えますね。産地であるメッセルピットは、風化しやすい岩質です。そのため、以前化石の発掘は余り熱心に行われてこなかったようですが、出土した化石を樹脂でこのように固めて保存することで、貴重な化石を保存することができるようになりました。
商品スペック
商品ID | ot409 |
---|---|
年代 | 新生代(6600万年前 -- 現在) |
学名 | ドイツ・メッセルピット産のキクルルス・ケーレリ(Cyclurus kehreri) |
産地 | Germany |
サイズ | 本体計測約20cm プレート全体 約17.8cm×15cm×厚0.6cm |
商品解説 | ドイツのフランクフルト市の南に位置するメッセルピット(Messel Pit Fossil Site)から採れた魚化石、キクルルス・ケーレリ(Cyclurus kehreri)です。 |
この商品を購入されたお客様のお声
いつも購入前に相談に乗って頂きましてありがとうございます。また迅速な対応に感謝いたします。本日、CycluruskehreriとKnithtiaを購入いたしました。キクルルスケーレリは思った通りのアート的な化石で、迫力がありたまらないです。またナイティアはよくこんなに小さい小骨まで残ったものでと感心する繊細さです。良い買い物が出来ました。また良さそなものが出ましたら、購入したいと思います。
東京都/男性
ドイツの世界的化石名産地、メッセル・ピット(Messel pit)とは?
世界的な化石の産地、メッセルピットとは?
ドイツ・メッセルピットで採集されたマクロクラニオン・ツパイオドン(Macrocranion tupaiodon)の全身骨格化石。弊社売却化石。
メッセル・ピットはおよそ5000万年前の生物の化石を産することで知られています。5000万年前といえば哺乳類が大繁栄を迎える少し前の時代です。6500万年前に白亜紀、すなわち中生代が終了し、陸上においては恐竜、海中においては海生爬虫類が絶滅しました。その後哺乳類と鳥類が、恐竜と翼竜に替わって、その地位を占めました。始新世の中頃(およそ4000万年前頃)には、現世の哺乳類の多くの目(もく、大まかなグループのこと)が出現しています。
その時期には、まだ北米とヨーロッパは陸橋によってつながっていました。そんな中で、現在のドイツにあるグルーベ・メッセルは、当時、湖水群の一角にあったことが分かっています。
メッセル・ピットでは哺乳類を中心に多数の化石が採集されています。その保存状態は驚くほど良好です。
もともと、メッセルピットは炭鉱だった。
ドイツ・メッセルピットで採集された鳥の全身骨格化石。弊社販売化石。
1995年に世界遺産に登録されたメッセル・ピットですが、化石の採集の歴史は古く、1875年にさかのぼります。このとき、ワニの化石が発見されたことを皮切りに、その後20世紀にたくさんの化石が発見、採集されました。
メッセル・ピットはピットの名にあるように、もとは炭鉱で、赤鉄鉱を目的に採掘が開始されました。その後、オイルシェールの採掘が始められ、その活動のなかで化石が多く見つかりました。
1970年代に入ると、州政府が産業廃棄物の集積場にしようと計画をしたため、多くのアマチュア化石愛好家、研究者、学者から反対の声が上がり、廃棄物で埋められてしまう前に、貴重な化石を採集、保存しようと採集熱が高まった、という経緯があります。
その後、1987年にメッセル・ピットに関する国際シンポジウムが開かれ、1990年代に入ってやっと、産業廃棄物集積所になる運命を逃れることができました。
脆弱な岩質のため、特別な化石の保存方法、トランスファー法が開発された。
ドイツ・メッセルピットで採集されたヘビの全身骨格化石。弊社売却化石。
メッセル・ピットの化石、特に哺乳類の化石には独特の保存方法が採用されてきました。
1970年代、メッセル・ピットでの主な化石の採集方法は、まず大きな石を取り出し、層理面に沿って、薄く石を剥いでいくことからはじめました。母岩が頁岩のため、薄い石が何枚も重なっているような状態です。
この頁岩は瀝青質、つまりオイルを含んでいるため、乾くと、縮み、破損が起こります。そのため、研究室やクリーニング施設に運搬する間は、湿った状態に保つ必要がありました。当時は、水を通さないプラスチックなどで包んで湿度を維持したようです。
室内に運搬できたら、1960年代に開発された、移し替え(Transfer)のテクニックが用いられました。
化石の湿度を維持した状態で、顕微鏡等で確認しながら、骨のまわりの母岩(頁岩)を慎重に取り除いていきます。出来得る限り除去したら、なんと樹脂で全体を覆うのです。
樹脂が固まると全体をひっくり返して、裏側も同様に母岩を慎重に除去していきます。そして、再び出来得る限り、骨を露出させるのです。
最終的に、樹脂のなかに骨(の化石)だけが保存されることになります。樹脂で固定されているため、もう化石が傷む心配がありません。
一部のメッセル・ピットの化石が樹脂のなかに浮かぶように保存されているのは、このためなのです。
トランファーのテクニックとは、骨だけを残し、周囲を脆い頁岩から強固な樹脂に移し替え(Transfer)る、という意味です。脊椎動物には特に有効だったようです。こうして、瀝青質の頁岩という強敵を見事に手なづけることに成功しました。
メッセル・ピットから産する化石の保存状態が良い理由
ドイツ・メッセルピットで採集されたコウモリの全身骨格化石。弊社販売品。
メッセル・ピットから産する化石のなかには、軟体部が保存されているものも存在します。
通常、骨以外は化石として残りません。
ところが、メッセル・ピットの地層のある特徴が、これを可能にしているのです。
メッセル・ピットはオイル・シェールが採れることで有名です。15%のケロジェン(石油)が含まれていて、これは石油の原料として価値が高く、ゆえに開発の対象となったのです。
普通の堆積環境では、オイルを含め有機物はバクテリアに分解されますが、なぜかメッセル・ピットでは、それが起こりませんでした。一説によれば、5000万年前の当時、亜熱帯雨林で、湖底には大量の藻が集まっていたとされています。すると、湖底には酸素が不足し、有機物が分解されなかった可能性があります。
有機物が分解されないままでいると、ケロジェン、すなわち石油に変わります。生物の遺骸も分解が進まず、極めて保存状態の良い化石になった可能性は十分に考えられます。
メッセル・ピットから比較的大きな哺乳類の化石が見つかる理由
メッセル・ピットから、コウモリ、ネズミ、鳥、ウマなど比較的大きな哺乳類の化石が採集されます。
一方で、昆虫類の化石は比較的少ない、という特徴があります。
これは、ある程度の体重がなければ、湖底に沈まず、湖面に浮いてしまい、化石にならないから、という説が有力です。